日本酒には、加水をして温める「割り水燗(わりみずかん)」と呼ばれる飲み方があります。加水でアルコール度数が下がり、より飲みやすくなるのが特徴です。燗酒のふくよかで優しい味わいも楽しめます。
今回は、家飲みにぜひすすめしたい割り水燗について解説します。作り方のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.割り水燗とは
「割り水燗(わりみずかん)」とは、水で割って温めた日本酒のことです。水で割ることでアルコール度数が下がり、温度の上昇とともにふくよかな味わいが広がります。
そもそも日本酒は、製造過程で「加水」と「火入れ」をおこなうお酒です。搾った直後のアルコール度数は17~20度と高く、加水をしながら13~16度ほどに調整していきます。火入れと呼ばれる加熱殺菌処理は、2回おこなうのが一般的です。
割り水燗は、加水をしながら自分が美味しいと感じる度数に調整できます。温度により味わいは変化するため、お家でゆったり日本酒を楽しみたいときにおすすめです。
2.割り水燗のおすすめポイント3つ
日本酒って水で割ってもいいの?と戸惑いがちですが、割り水燗は日本酒通も好む飲み方です。おすすめポイントには、次のような3点が挙げられます。
- 飲み飽きせずにゆっくり楽しめる
- 体がぽかぽかと温まる
- 飲み疲れせず次の日もお酒が残りにくい
日本酒は、温度による味の変化が魅力的なお酒です。割り水燗のように温めると、ふくよでやわらかな味わいが広がります。
高温から常温へと、温度が下がる間の変化を楽しむのもおすすめです。お家でゆるりと盃を傾けながら、時間とともに異なる味や香りを堪能できます。
ぽかぽかと体が温まる割り水燗は、出汁の染みたおでんのような冬メニューと好相性。もちろん、冷房で体が冷えがちな夏場にもおすすめしたい飲み方です。
また、「原酒」のようにアルコール度数が高いお酒は、割り水をすることでぐっと飲みやすくなります。度数の高いお酒をぐいぐい飲むより体に優しく、次の日までお酒が残りにくい飲み方といえるでしょう。
3.割り水燗の作り方3つのポイント
割り水燗を作るときは、次の3つのポイントを意識してみてください。より美味しい割り水燗を楽しめます。
- 「原酒」や「火入れ酒」がおすすめ
- 1割~2割を目安に加水する
- あらかじめ「前割り」しておく
ここでご紹介するのはあくまでも目安のひとつです。難しく考えず、ぜひ自由に割り水燗にチャレンジしてみてくださいね。
3-1.「原酒」や「火入れ酒」がおすすめ
割り水燗にする日本酒は「原酒」や「火入れ酒」がおすすめです。原酒とは、加水調整をしていないお酒のこと。アルコール度数は20度近くと、加水をしている日本酒より高めです。そのため、割り水にしたときも味がぼやけず、お酒の個性がくっきりと浮かび上がります。
また、日本酒には火入れをしているお酒と、火入れをしていない生酒と呼ばれるお酒があります。生酒は、加熱処理をしていないフレッシュさが持ち味です。温めると味がぼんやり落ち着かないタイプが多く、火入れ酒のほうが安定した味わいを楽しめます。
とはいえ、生酒だから燗にしてはいけない、というわけではありません。どんなお酒も好きなように楽しめるのが家飲みの魅力です。「生酒って温めるとこんな味になるんだ」「この生酒は温めてもいける!」などさまざまな違いを発見してみてくださいね。
3-2.1~2割を目安に加水する
割り水燗は、アルコール度数12~13度を目安に仕上げると飲み疲れせず心地よい酔いが続くといわれています。人によっては、15度あたりが美味しいと感じるなど味の好みはさまざまです。
加水量はもとのお酒の1~2割量が適していますが、まずは常温で日本酒を味わってみてください。「アルコール感がしっかりしてる」「そんなに加水しなくてもよさそう」など、自分の感覚をふまえたうえで徐々に加水するのがおすすめです。
お湯をはった鍋に徳利(とっくり)をつけ、味見をしながら好みの温度や加水量を見つけるのも割り水燗の楽しみのひとつです。温度や加水量でガラッと変わる日本酒のおもしろさを実感できます。
3-3.あらかじめ「前割り」しておく
「前割り」とは、あらかじめお酒と水とをなじませておくことです。前割りをして1週間ほどおくと、お酒の味わいがまろやかに変化します。時間があるときは、お酒を水で割ってキープしておきましょう。しっかりと骨太な個性を持つ日本酒ほど、前割りの効果が感じられます。
まとめ
加水して温める割り水燗は、お家だからこそできる日本酒の楽しみ方です。水の量や温度など、自分で調整しながら好みの味わいが見つけられます。美味しく飲むためのポイントはあっても、正解に限りはありません。自由な日本酒の楽しみ方「割り水燗」、ぜひお家で試してみてくださいね。