酒どころ秋田の銘酒のひとつ「新政(あらまさ)」。「なんだかいろいろな種類があるみたい」「それぞれどう違うの?」と興味を惹かれる日本酒ファンも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、新政の種類について徹底解説!「No.6」「Colors」「PRIVATE LAB」など、新政のこだわりがギュッと詰まったラインナップの数々をご紹介します。
目次
1.新政の銘柄の種類は大きく分けて3つ
秋田県の新政酒造が手がける「新政」は、大きく以下の3種に分類されます。
- No.6(ナンバーシックス)
- Colors(カラーズ)
- PRIVATE LAB(プライベートラボ)
新政は、秋田県産の米のみを使用し、伝統製法である「生酛造り(きもとづくり)」によって生まれる日本酒です。酒造りに欠かせない酵母(こうぼ)には、昭和5年に蔵で発見された「きょうかい6号」(六号酵母)のみを使用しています。
日本酒造りの伝統を重んじつつ、未来の扉を開く革新的な取り組みこそが新政の魅力。代表的な3つのシリーズにも、蔵元・佐藤祐輔氏の醸造へかける熱い想いが込められています。
1-1.6号酵母の魅力を表現した「No.6(ナンバーシックス)」
「No.6」最大の目的は、6号酵母の魅力をダイレクトに表現すること。新政の定番酒であり、唯一となる生酒です。
加熱殺菌処理をしていない生酒は、温度によって味が変化しやすいお酒。そのため、通常であれば冬から春の気温が低い時期に販売されます。
新政では、マイナス5℃以下の貯蔵管理体制を整え、年間を通した生酒の販売を実現。No.6の取扱店も、温度管理が徹底された店のみに限られています。
1-2.秋田の酒米の個性を味わえる「Colors(カラーズ)」
「Colors」は秋田の酒米の個性を堪能できるシリーズ。火入れと呼ばれる加熱殺菌処理をほどこしたお酒です。
日本酒を仕込む際に、木製の木桶(きおけ)を使っていることも大きな特徴。また、日本酒は製造工程の仕上げに水を加えアルコール度数を15~16度に調整しますが、新政では加水調整をおこなっていません。
原酒と呼ばれる状態で、アルコール度数は15度以下。Colorsはそのなかでも、米の旨味、甘みが調和した透明感のある味わいが魅力です。
1-3.革新的で大胆な手法を用いて醸される「PRIVATE LAB(プライベートラボ)」
「PRIVATE LAB」は、革新的かつ大胆な手法で生まれるシリーズ。こだわりの手法もさることながら、ネーミングやラベルデザインに蔵元のセンスが光ります。
「陽乃鳥(ひのとり)」「亜麻猫(あまねこ)」「天蛙(あまがえる)」と、それぞれのデザインは風水の象徴、四神をモチーフにしているとか。日本酒界の未来を感じずにはいられない、新政のポリシーが体現されたラインです。
2.No.6のラインナップ
火入れをしていない生酒「No.6」は、フレッシュさが持ち味のまさに「生きているお酒」。購入後は低温管理を基本に、早めに飲みきるのがおすすめです。
2-1.新政 No.6 R-type(アールタイプ)
R-typeは、蔵を代表する「Regular(レギュラー)」クラスのお酒。天然の乳酸菌を活用した生酛造りの良さを存分に味わえるボトルです。ピチピチとしたほのかなガス感も心地よく、フレッシュな旨味と甘み、ほどよい酸味のバランスを楽しめます。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
2-2.新政 No.6 S-type(エスタイプ)
「Superior(スーペリア)」(上級版)を意味するS-Typeは、「No.6」の代表作。生酛ならではのコクと複雑味がありつつ、後味はスッキリ。新政の真骨頂ともいえるクリアな味わいが魅力的です。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
2-3.新政 No.6 X-type(エックスタイプ)
X-Typeは「eXcellent(エクセレント)」(豪華版)を意味するボトル。一粒の米をより小さく磨き、洗練された味わいを生み出しています。6号酵母と秋田産酒米が織りなす香りは実にエレガント。「No.6」の繊細な旨味が際立つ1本です。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
3.Colorsのラインナップ
色とりどりのボトルに心躍る「Colors」。蔵がこだわる秋田県産酒米の個性、6号酵母のポテンシャルを存分に味わうことができるシリーズです。
お酒が詰められているのは「暁鐘(Morning Bell)」と名付けられた自社ボトル。細部までこだわりぬいたシリーズの中から、ぜひお気に入りのカラーを見つけてみてください。
3-1.新政 エクリュ 生成
秋田生まれの酒米「酒こまち」を使用。雪解け水のような清らかな味わいが魅力的な1本です。「エクリュ・生成(きなり)」とは、無漂白・無着色の布地のこと。まさに飾り気のない、秋田の大地そのものの魅力が詰まったボトルラインです。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
3-2.新政 ラピス 瑠璃
使用しているのは長野県や東北を中心に栽培される酒米「美山錦(みやまにしき)」。瑠璃色のラピスは、美山錦ならではの柔らかさとやさしさを感じさせるお酒です。味に奥深さがありつつ、ライトな仕上がりは新政ならでは。新政を初めて飲むという方にもおすすめです。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
3-3.新政 ヴィリジアン 天鷲絨
Colorsのなかでも、もっとも飲みごたえのある1本がこちら「ヴィリジアン」。秋田の高級酒米「美郷錦(みさとにしき)」を使い、ふくよかな旨味を実現しています。「天鷲絨(てんがじゅう)=ビロード生地」を思わせる、しっとりとなめらかな口当たりの日本酒です。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
3-4.新政 コスモス 秋櫻
「コスモス」は、美山錦の兄弟にあたる酒米「改良信交(かいりょうしんこう)」を使ったお酒です。やわらかな旨味、甘みのあとにほのかな酸味が広がります。美山錦を使ったラピスとの飲み比べも楽しい1本です。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
3-5.新政 アッシュ 水墨
原料米「亀の尾(かめのお)」は、多くのブランド品種のルーツといわれる酒米。食用米「ひとめぼれ」や「あきたこまち」も亀の尾から誕生したといわれています。「アッシュ」は亀の尾の魅力を最大限引き出す製法で生まれたお酒。長期保管にも適しており、時間と共に変化する奥深い味わいを楽しめます。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
3-6.新政 アース 産土
「アース」は無農薬栽培で育った酒米「陸羽132号(りくう132ごう)」で造った日本酒です。陸羽132号は、人口交配のさきがけとなった品種。新政が持つ田んぼでは、主に陸羽132号が中心に栽培されています。長期の冷蔵保管にも適しており、火入れシリーズ「Colors」の魅力を存分に堪能できる1本です。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
4.PRIVATE LABのラインナップ
貴醸酒(きじょうしゅ)、白麹仕込み、発泡清酒とこだわりの手法を用いた「PRIVATE LAB」は、これぞ新政という醸造センスが詰まったシリーズです。
少し肩の張ったボトル「六花附長筒酒入(りっかつきながつつさけいれ)」は、2019年(令和1年酒造年度)から使用されているもの。和紙風のラベルにロゴデザイン、ネーミングと日本酒ファンの心をくすぐる要素たっぷりのお酒ばかりです。
4-1.新政 陽乃鳥(ひのとり)
通常の日本酒は、米と米麹、水で造られます。その水の一部を、お酒に変えて仕込んだものがこちらの貴醸酒。お酒が生まれ変わる様子から、新政では「陽乃鳥(ひのとり)」と名付けられています。
濃密な甘みとジューシーな酸味、なめらかな舌触りは、まさに唯一無二の味わい。令和2年酒造年度からは木桶仕込みにチェンジし、さらなる個性を輝かせています。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
4-2.新政 亜麻猫(あまねこ)
日本酒造りには、黄麹と呼ばれるカビの一種を使用します。「亜麻猫(あまねこ)」は黄麹ではなく、焼酎などに使用する白麹で造られた日本酒です。
白麹由来のクエン酸が豊富な亜麻猫は、柑橘系の爽やかな酸味と甘みが特徴的。その他、瓶内で二次発酵させた「亜麻猫 スパーク」も販売されています。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
4-3.新政 天蛙(あまがえる)
「天蛙(あまがえる)」は、アルコール度数10%以下の低アルコール日本酒です。瓶内で二次発酵させているため、シュワッとしたガス感を楽しめます。天蛙のみ、ボトルは耐圧ストレート型です。
温度の高い場所で保管するとガスが噴き出す恐れがあることから、取り扱いは低温管理が基本。取扱店も、マイナス5℃以下の管理が厳守できる店舗に限られています。販売期間や数量も限られた新政のなかでも特にレアなお酒です。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
4-4.新政 涅槃龜(にるがめ)
日本酒造りに使用する米は、米粒の外側を削る精米(せいまい)をおこなってから使用します。通常であれば30%近く削るところ、「涅槃龜(にるがめ)」は10%前後の低精白の米で造られたお酒です。
米を削らないほど味の雑味が生まれやすいといわれるなか、涅槃龜は実にエレガントでモダンな味わいを実現。木桶仕込み、生酛造り、低精白と江戸時代の日本酒造りを体現したボトルです。
(出典元:新政酒造株式会社オフィシャルサイト)
まとめ
秋田の銘酒としての人気を確立しながら、とどまることなく革新を続ける銘柄「新政」。自然の発酵の力、伝統技術を重んじて生まれる日本酒は、多くの日本酒ファンを魅了しています。
販売店は限られているものの、酒販店や飲食店で出会ったときは、ぜひ一度お試しを。これまで体感したことのない、新たな味わいとの出会いが待っているはずです。