「澤屋まつもと」は、松本酒造の革新的な酒造りが注目を集める日本酒です。「原料に勝る技術なし」といった想いから生まれるのは、とことん酒米にこだわったお酒。代表銘柄である「守破離」(しゅはり)は、さまざまな高級米で仕込まれています。
杜氏の探求心があふれる限定酒は、人気の高さから品切れになることもあるほど。今回は、京都伏見の新たな代表酒「澤屋まつもと」の魅力やおすすめ銘柄、購入先についてご紹介します!
目次
1.日本酒の澤屋まつもととは
「澤屋まつもと」は、蔵に受け継がれる伝統製法を守りながら、革新的な酒造りで邁進を続けるブランドです。麹米はざるで手洗いし、半切りと呼ばれる底の浅い木桶で吸水。確かな数字と感覚を大切に、必要以上に手をかけない引き算の酒造りを続けています。
原料由来の味わいを大切に、搾った酒はすべて原酒のまま余計な手は加えないのも特徴。ていねいに瓶詰めされているため、仕込み時に生じた発泡感のある飲み口を楽しめます。
料理に合う酒造りを目指し生まれた日本酒は、微発泡の爽快感やキレのよい酸味、苦みを強調した新たなる酒。柑橘系の香りは洋食との相性も良く、一歩進んだ食中酒として人気を集める銘柄です。
1-1.酒造元について
「澤屋まつもと」を造る松本酒造は、1791年(寛政3年)に創業した老舗酒蔵です。1922年(大正11年)、京都伏見に建てられた仕込み蔵や八角形のレンガ煙突は、近代化産業遺産にも認定されています。
現在の蔵を牽引するのは、若きふたりの兄弟。杜氏である弟の松本日出彦氏は、東京農業大学で醸造学を学んだのち、「醸し人九平次」を造る醸造萬乗で修業を重ねた人物です。蔵へ戻った日出彦氏は「伝統を守り、新しい感性をもって、新境地を想像する」を企業理念に掲げ、新たな酒造りをはじめます。
富山県南砺市産「五百万石」に出会い、原料由来の味わいに心打たれた日出彦氏は、米の旨味を引き出す酒造りを追求。「一に蒸し、二に蒸し、三に造り」と言うほど米を蒸す工程にこだわり、現在はめずらしい四角いせいろで酒米を蒸しあげてます。
古くから親しまれる蔵のもうひとつの銘柄「日出盛」は、杜氏である日出彦氏の名前の由来でもあるお酒。200年あまり続くその伝統を胸に、蔵では日々まっすぐな酒造りが続けられています。
1-2.澤屋まつもとという名の由来
初代・松本治兵衛が創業した酒造「澤屋」は、1949年(昭和24年)に松本酒造株式会社と社名を改めます。「澤屋まつもと」は、古い暖簾である「澤屋」と、現在の「松本」から銘々したものです。
澤屋まつもとの代表銘柄である「守破離」(しゅはり)は、伝統を取り入れながらも、革新を取り入れることを意味したお酒。「守」は伝統を守ること、「破」は伝統を打ち破り新しいアイデアを思いつくこと、「離」には、それぞれを大切にしながら新しい価値を創造していくという想いが込められています。
2.澤屋まつもとの種類と値段について
日本酒は、原料や製造方法によって醸造酒や純米酒、吟醸酒といった特定名称酒に分類されます。しかし、澤屋まつもとの多くは特定名称の表記にこだわらず、原料となる酒米の存在感を重視しているお酒です。
こだわりの酒米を使用しながら、四合瓶が1000円から3000円台の価格帯も人気の理由。澤屋まつもとならではの、原料米による味の違いをぜひ楽しんでみて下さいね。
2-1.守破離 sauna
精米歩合 | 酒米 | 価格 |
ー | 雄町 | 720ml:1650円(税込) |
評判
「sauna」は、サウナから出た後のような爽快感をイメージして作られたお酒です。原料米は岡山県赤磐産の雄町。雄町を使ったお酒はどっしりした味わいが多い中、「sauna」はドライで軽やかな旨味を実現しています。
シュワッとした微発泡感は、澤屋まつもとならではの口当たり。好みの料理と合わせて、すいすいと飲み進めたくなる銘柄です。
(出典元:桜本商店)
2-2.守破離 混醸×熟成
精米歩合 | 酒米 | 価格 |
62/38% | 山田穂/雄町 | 720ml:2530円(税込) |
評判
混醸とは、複数の品種をともに発酵させる醸造方法です。昨年に仕込んだ山田穂と雄町の混合酒を16カ月間熟成させたお酒は、米本来の旨味をぞんぶんに味わえる仕上がりとなっています。
熟成酒でありながら爽やかさを感じられるのは、澤屋まつもとの「守破離」ならでは。秋の味覚にもぴったりの食中酒です。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-3.純米大吟醸 Ultra
精米歩合 | 酒米 | 価格 |
40% | 兵庫県加東郡東条町特A地区産山田錦 | 720ml:3465円(税込) 1800ml:6930円(税込) |
評判
原料となるのは、兵庫県上東条地区に限定した山田錦。上東条地区は、酒米の王者・山田錦の栽培をいちばんに始めた、山田錦のルーツとなる場所です。
「Ultra」(ウルトラ)は、別次元の場所で育った米を意味する銘柄。「原料に勝る技術なし」という酒蔵の想いが感じられる、こだわりの純米大吟醸です。
(出典元:横浜君嶋屋オンラインショップ)
2-4.守破離 Furuke48
精米歩合 | 酒米 | 価格 |
ー | 兵庫県東条秋津地区古家山田錦 | 720ml:5500円(税込) |
評判
使用するのは、秋津地区の一番南の古家川ノ上48番地と、その周辺で育つ山田錦のみ。澤屋まつもとのこだわりが詰まった、最高峰の熟成酒です。
口当たりはやさしいものの、最後に残るのは米の力強い旨味。一年間熟成させることで、山田錦のポテンシャルをじゅうぶん引き出している銘柄です。
(出典元:はせがわ酒店)
2-5.守破離 No title
精米歩合 | 酒米 | 価格 |
ー | 山田錦 | 720ml:2750円(税込) |
評判
「No titale」とあえて題名がない事を意味する守破離は、完全有機農法で育てた山田錦で造られています。原料以外、情報はほぼ非公開。「価値観にとらわれず、自然なあるべき姿を感じてほしい」という酒蔵の想いによって誕生しました。
米の可能性を探りながら造った「No titale」は、蔵のチャレンジ酒ともいえるお酒。米の素晴らしさをダイレクトに感じられる、守破離の特別限定商品です。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-6.守破離 Saido 28BY
精米歩合 | 酒米 | 価格 |
ー | 上東条西戸産山田錦 | 1800ml:13200円(税込) |
評判
「Saido」は、特A地区のさらに上の特上米を栽培する秋津地区の中でも、最上流部に位置する「西戸地区」を表す名前です。その土地の風土、米の持つすばらしさを体感してほしいという蔵の想いが込められています。
発泡感は控えめで、とろみのある濃密な旨味と酸味が際立つ仕上がり。ワイングラスに注ぐとより一層その旨味が際立つ銘柄です。
(出典元:はせがわ酒店)
3.澤屋まつもとの購入方法
酒蔵直販のない「澤屋まつもと」は、正規取扱店で購入可能です。通販サイトで購入する際も、日本酒を適切に管理しているショップがおすすめとなります。温度管理の行き届いたショップを選べば、原料米の良さが活きた美味しい「澤屋まつもと」を味わうことができますよ。
3-1.澤屋まつもとが購入できる実店舗
「澤屋まつもと」を実店舗で購入する時は、多くの地酒を取り扱う正規取扱店を選ぶのがポイントです。人気商品は品切れになっていることもあるため、希望の品がある時は事前に確認してからお出かけくださいね。
山中酒の店 | 大阪府大阪市浪速区敷津西1-10-19 | 06-6631-3959 |
酒泉洞堀一 | 名古屋市西区枇杷島3-19-22 | 052-531-0290 |
お酒のアトリエ 吉祥 | 神奈川県横浜市港北区新吉田東5-47-16 | 045-541-4537 |
3-2.澤屋まつもとが購入できる通販サイト
「澤屋まつもと」は大手通販サイトでも購入できますが、正規の価格ではない価格で販売されていることがあるので注意が必要です。また、日本酒を専門に扱っていないお店では、品質管理が行き届いていない場合もあります。
直接商品を手にすることができない通販サイトは、日本酒に適した保存管理を行っている専門ショップを選ぶのがおすすめ。酒蔵が求める酒質そのままの、本当に美味しいお酒を購入することができますよ。
4.澤屋まつもとの美味しい飲み方・楽しみ方
「澤屋まつもと」は、料理と合わせて美味しいお酒を目指して造られています。中心はあくまでも料理。日本酒はサイドという味のバランスを重視したお酒です。
適度に冷やすとより一層楽しめるのが、「守破離」ならではの微発泡感やチリチリとした酸味。ワイングラスに注いで香りを開かせながら、和食だけでなく洋食に合わせるのもおすすめです。
4-1.-5度で保管?
購入した澤屋まつもとを美味しく保管するためには、温度管理がポイントとなります。日本酒は温度による酒質の変化を受けやすいお酒。蔵直送の味わいをキープするために理想的な温度帯は、酵母の働きがストップする-5℃だと言われています。
とはいえ、家庭用の冷蔵庫では-5℃をキープするのは簡単なことではありません。そこでおすすめしたいのが、日本酒専用に開発された冷蔵庫「日本酒セラー」です。日本酒に大敵な紫外線を避けつつ、-5℃をキープできるセラーなら、一度開栓した日本酒も美味しいまま保管できます。
日本酒セラーがない場合には、紫外線のあたらない冷暗所で縦置きで保管するのがおすすめ。日本酒は空気に触れると酸化しやすくなるため、開戦後はなるべく早く飲みきるように心がけてくださいね。
5.澤屋まつもとの期間限定品
「澤屋まつもと」は、日本酒の可能性を模索するお酒として「試験醸造シリーズ」を限定販売しています。使用する酒米は毎回異なり、本数はおよそ1000本限定とファン待望のシリーズ品です。
「Shuhari 2019 KOHOKU TAMASAKAE」は、滋賀県湖北産の玉栄を使用した2019年のお酒。純米や純米大吟醸といった特定名称にあたる記述は一切なく、ただ米の旨味を純粋に追いかける「澤屋まつもと」の意気込みが表れた自信作です。
他にも、「Shuhari 2018 SHOBUDANI」は特A地区として名高い上東条地区の「少分谷」(しょうぶだに)という地区の山田錦で仕込んだお酒。山田錦×雄町、愛山×山田錦といった異なる品種の掛け合わせにも挑戦するなど、常に新しい世界を探求する蔵の姿勢が表れています。
6.まとめ
伝統を守りつつ、常に革新を続ける「澤屋まつもと」は、日本酒ファンからも人気のお酒です。原料米の良さを大切に、米の旨味を押し出したブランド展開が注目を集めています。
なによりファンを惹きつけて止まないのは、シュワッとした微発泡が心地よい軽やかな味わい。酸味と旨味のバランスがとれた「澤屋まつもと」の世界を、ぜひ好みの料理と一緒に楽しんでみてくださいね。