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北越後を表現した酒蔵のリニューアルプランが建築文化賞を受賞

北越後を表現した酒蔵のリニューアルプランが建築文化賞を受賞

菊水酒造株式会社(新潟県新発田市・代表取締役髙澤大介)の酒蔵リニューアルプラン「KIKUSUI Renewal Planプロジェクト」が、日本建築学会北陸支部主催の北陸建築文化賞を受賞。

今回受賞したのは、菊水酒造の施設全体のリニューアル計画である「KIKUSUI Renewal Planプロジェクト」です。(以下KRP)
KRPのコンセプトは、北越後に根差しながら次世代につなぐ「持続する蔵」。KRPを通じて生み出された各施設が単なる建築物としてではなく、さまざまな形でこの地の魅力を取り込み、コンセプトを体現しています。

この度の北陸建築文化賞において「テロワールの建築」として評価され、7月18日(土)にオンラインで授賞式が行われました。

北越後の豊かな自然に囲まれた菊水酒造

「北陸建築文化賞」とは
日本建築学会北陸支部により北陸・信越地方の建築文化の発展に顕著な貢献が認められる業績または建築作品に対して、その功績を称えこれを表彰することにより、地域の建築文化の振興に寄与されるものです。

◆第30回(2019年度) 北陸建築文化賞受賞〔作品〕《from新潟支所》
KIKUSUI Renewal Plan 65 プロジェクト
【 建 築 主 】菊水酒造㈱ 代表取締役社長 髙澤大介
【設計・監理(全体統括)】㈱梶浦暁建築設計事務所(梶浦暁+唐澤裕三+末安冬子+往蔵満秋)
【設計・監理(構造) 】㈱織本構造設計
【設計・監理(機械設備)】㈱テーテンス事務所
【設計・監理(電気設備)】㈱ルナ・デザイン・ラボ
【施工(建築・外構) 】㈱伊藤組
【施工(電気・機械設備)】ダイダン㈱新潟支店

<選評>(日本建築学会北陸支部ホームページより)
このプロジェクトを総括するのに悩んだが、施主との対話から「terroirの建築」という評価が想起された。素朴な田舎家というより寧ろ建築に向かう姿勢そのものが、酒造を通じて地域文化を育んできた施主の自負と重なるような建築である。昭和41年の羽越水害以来、堤防整備により同44年に今の場所に移転操業を開始した菊水酒造は、経営環境の変化を受けて増改築を繰り返し、製造工程に著しい矛盾を抱えた状態にあった。設計者がこの事業に関わる契機となった平成16年の仕事以前に、同社で培った酒造研鑽の経験を活かし、今回製造ラインの設計まで関わったという。複雑を極める酒造工程も正確無比に再計画を果したに留まらず、将来の拡張性、地域への開放空間をも盛り込むことにも成功している。二王子岳の飯豊山系と菊水酒米田の風景を一体で眺望できる仕込室に象徴されるよう、地域文化醸成の大地となり、地域に根付く建築の在り方を示した事業として高く評価したい。

KIKUSUI Renewal Planプロジェクトとは

2012年~2017年に菊水酒造のグランドデザインを刷新したプロジェクト。かつて菊水酒造が二度の水害で被災し、現在の地に蔵を構えたのが1969年。以来、日本初(※)の生原酒缶「ふなぐち菊水一番しぼり」やにごり酒「五郎八」、「菊水の辛口」などを発売し、水害から復興し発展を遂げてきました。一方、蔵の各施設は製造量の増加に対応するかたちで、幾度もの増改築を経て導線が複雑になっていました。

移転から40年になる頃、酒造りを支えた設備も老朽化が顕在になり、各地では大きな地震が頻発します。このような中で菊水酒造の「KIKUSUI Renewal Plan」がスタートします。

(※1972年11月。日本で初めて生原酒缶を商品化。㈱コミュニケーション科学研究所調べ。2010年1月)

コンセプトは、次世代につなぐ「持続する蔵」
KRPのコンセプトは次世代につなぐ「持続する蔵」です。災害耐性を高めつつ、品質の良い商品を安定的に生み出すことはもちろん、目まぐるしく変化する市場に対応し続け、お客様のご要望、社員の幸福、社会の要請に応えうる蔵に刷新することがこのプロジェクトのミッションです。

KRPを通じて建設した施設では「合理性」「高度化」「柔軟性」を具現化しており、持続する蔵を支える柱となっています。

北越後の景観に配慮した建築デザイン
菊水酒造の約一万坪ほどの敷地に、仕込み蔵、貯蔵棟、製品棟といった製造施設と、福利厚生施設が建築されました。それぞれの建物が蔵を囲む自然豊かな北越後と調和するようなデザインが施されており、建物の高さを極力抑え、建材の色彩に統一感を持たせるなど、景観への最大限の配慮がなされています。


国道7号線沿いの傾斜のある立地の特徴を生かした製品棟。

製品棟

ボトリングから出荷までの工程を担う製品棟。複雑に交差していたラインを直線化することにより生産効率を高めながら、安全な職場環境の確保と衛生的な環境を整っています。これまで以上に高い品質レベルの製品を安定的に生み出すことが可能になりました。

一時間に20,000本のふなぐち200ml缶を製品化する

貯蔵棟

これまで4か所に分散していたタンクと、濾過場を一か所に集約し作業効率が格段に向上した貯蔵棟。年間を通じ均一の温度を保ち、6KL~60KLの大小約100本のタンクを最適な状態で貯蔵管理しています。高さ7メートル級にもなる60KLの大型タンクを収納しながらも、屋根の高さは最小限に抑えており、周囲の景観を損なわない工夫がなされています。

二王子蔵(にのうじぐら)

「ふなぐち菊水一番しぼり」や、「菊水の辛口」の仕込みを行っていた本蔵と21蔵を統合し、生産工程の合理化を図りました。蔵の名前は、1881年の菊水創業当時より常に蔵を見守る二王子岳から命名しています。仕込み室には幅15mの窓を配置し、北越後の壮大な借景を蔵に取り入れています。蔵人は、どっしりとなだらかな曲線を持つ二王子岳の山なみを望みながら、日々仕込みを行っています。

菊水スペース 踊り

倉庫をリノベーションした福利厚生施設。床や内装の仕上げ材に、旧蔵の仕込室や麹室に使われていた板材を再利用し、先人から受け継いだ伝統と文化を次世代に繋ぐ思いが込められています。
普段は社員の休憩やミーティングスペースとして使用されますが、掘りごたつを埋めると大きなステージが出現。100名規模のイベントを行う会場としても使用することができます。
ちなみに「踊り」とは酒造りの用語で、醪造りの二日目に、酵母をしっかり繁殖させるために醪を一日寝かせることで、醪の順調な発酵には欠かせない工程です。この「踊り」は、社員が憩い、安らぎ、英気を養うことができる場所になっています。
かつて製品工場の一部であったスペースを、人が集い,憩う施設にリノベーション。

壁一面に広がる窓の奥には、二王子の山々と自社で育てる酒米の田んぼが広がる

甘酒生産施設 あま蔵(あまぞーん)
酒造施設であった建物を改修し、清涼飲料も製造できる衛生基準を持つ施設にリノベーションしました。

創業以来培った酒造りの知識と技術を生かし、米麹を原料としたあま酒や、日本酒の副産物である酒粕を原料とした発酵食品を生産しています。


清涼飲料の衛生基準をもつ施設に改修し、あま酒や乳酸菌発酵食品などを生産する

KIKUSUI Renewal Planプロジェクトにより、5年の歳月をかけ「持続する蔵」に刷新した菊水酒造は、2018年10月に新たな経営理念を掲げました。

「私たちは、感謝と良心を以って、大地の恵みを醸し、心豊かなくらしを創造します」

この度の受賞を励みとし、これからもここ北越後に根差し、創業以来培った発酵の力で大地の恵みを醸しながら、人々の「健康」「憩い」「楽しみ」に貢献するモノづくり・コトづくりを追求し続けます。

日本酒を面白くするコトづくりの拠点。菊水日本酒文化研究所

菊水酒造オフィシャルサイト
https://www.kikusui-sake.com/

菊水酒造の蔵見学
※現在、見学案内およびショップの営業を休止しております。(2020年8月5日現在)
https://www.kikusui-sake.com/home/jp/labo/

情報提供:PR TIMES


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