11月23日は「牡蠣の日」です。師走が近づき忙しい日々が続いたら、たっぷりの栄養を含んだ牡蠣を食べるのはいかがでしょうか。今回は牡蠣の食べ方としてスタンダードな生牡蠣と日本酒「久保田」のペアリングを試しました。日本酒と牡蠣の力を借りれば、多忙な毎日も美味しく元気に過ごせるはずです。
栄養いっぱいな牡蠣を食べて師走を乗り切ろう
ふとカレンダーを見れば今年も残りわずか。もうすぐ師も走り出すという慌ただしい季節がやってきます。そんな忙しさを目前にした11月23日は「牡蠣の日」です。
この日が牡蠣の日に制定された理由は2つあります。
まず、鍋の具材として、あるいは贈り物として、これからの寒い季節に需要が最盛期を迎える牡蠣への注目を集めること。
そして、勤労感謝の日である11月23日に栄養満点の牡蠣を食べることで、勤労からくる疲労を癒してもらおうということ。
今回はそんな牡蠣の日に合わせ、牡蠣の食べ方として定番である生牡蠣と日本酒のペアリングを試しました。用意した日本酒は、長年に渡り多くの日本酒ファンを魅了し続けている名酒「久保田」。新潟県の淡麗辛口の代表銘柄である久保田から、味わいや特定名称、製法が異なる久保田を5種類用意し、それぞれと生牡蠣を合わせてみました。
生牡蠣と久保田のペアリング
綺麗ですっきりな「久保田 千寿」との相性はあと一歩
まずは1985年の久保田発売当初から今日に至るまで、長年親しまれてきている代表銘柄「久保田 千寿」から試してみます。スーパーでも取り扱われているため、手に取りやすい身近さのある商品でもあります。喉をさらっと通るキレの中に、米本来の旨味と酸味とともに、ほのかな余韻や甘味が感じられるのが特長です。
生牡蠣と共に味わってみると、第一印象は美味しいのですが、段々と生々しい牡蠣の味わいが口の中に広がってしまいました。炭酸とレモンを加えた千寿と合わせるとその生々しさが抑えられて美味しく食べられるものの、「これだ!」と膝を叩きたくなるような組み合わせと言うには、あと一歩といったところ。
「久保田 スパークリング」と合わせて溢れる清涼感
「久保田 スパークリング」は、きめ細やかな泡立ちとマスカットのような爽やかな香りで、軽やかな爽快感を楽しめる、スパークリング日本酒です。甘酸っぱい味わいでボリュームはありながら、久保田ならではのキリっとしたシャープな酸味で、後味はすっきりとしています。
生牡蠣とペアリングすると牡蠣のクリーミーな味わいと調和するのか、単体で味わった時よりスパークリングの甘さが落ち着いた印象を受けます。一方で酸味や久保田らしいキレが際立つため食後は清涼感が溢れ、ついついもう一口、と手が伸びてしまいました。スパークリングはちょっと甘いと感じたことのある人が試してみると、スパークリングの見方が少し変わるかもしれません。
ある一工夫で「久保田 純米大吟醸」と息ぴったりに
フルーティーな香りと上品な甘さ、涼しげなキレを併せ持つ「久保田 純米大吟醸」。和食にも洋食にも、スイーツにも合うオールラウンダーな日本酒です。家に常備しておくと、幅広い料理に華を添えてくれます。飲み口がすぼまった酒器に注いで、香りを楽しみながら味わうのもおすすめです。
組み合わせてみると、生牡蠣とも好相性でした。ですが、後味は牡蠣の味わいが強めに残るのでそこが好みの分かれ目になりうるかも。ここまで牡蠣はポン酢をつけて食べていましたが、バルサミコ酢をつけてみたところ、フルーティーな甘味が加わることで、純米大吟醸とより相性がよくなりました。洋食とも調和し、果実酢を使ったカクテルとして飲んでも美味しい純米大吟醸らしい結果ですね。
「久保田 碧寿」の包容力で牡蠣のコクを満喫
「久保田 碧寿」は、乳酸菌の力を最大限引き出す、伝統的な醸造方法の山廃仕込みによる純米大吟醸酒です。久保田らしいすっきりとした飲み口ながらも、山廃仕込みならではの奥行きの深いうま味が楽しめます。久保田の中でもお酒好きに高い人気を誇るお酒です。
生牡蠣を口に含み碧寿を飲むと、言うことのない美味しさ! 噛んだ瞬間あふれ出す濃い牡蠣のうま味を、腰の据わった碧寿が両手を広げて受け止めてくれます。牡蠣独特のミネラル感が落ち着き、コクを楽しむことができました。常温の碧寿でも美味しく楽しめますが、お燗にするとよりしっかりとした飲みごたえになるため、一癖ある生牡蠣にはお燗にした碧寿の方が釣り合います。
濃厚な味わい同士で相性抜群の「久保田 千寿 秋あがり」
秋にだけ楽しめる千寿、それが「久保田 千寿 秋あがり」です。冬に仕込んだ千寿の原酒を、秋までじっくり熟成させています。清らかで上品な香りと、千寿らしく綺麗で辛口の味わいです。熟成を経て口当たりはまろやかに、味わいは上品な旨味と、原酒のパンチを楽しめます。
生牡蠣との相性は抜群で、秋あがりの味わい深さと、牡蠣のぎゅっと密度の高い味わいがマッチしました。原酒らしい満足感のある一口は、ともすれば臭みとも感じられてしまう牡蠣の強さとも渡り合え、上手に落ち着かせてくれています。後味では千寿らしい辛さも堪能できました。元々秋に食べ頃となる食材と相性のよい千寿 秋あがり。牡蠣との共演での活躍ぶりは約束されたものだったのかもしれません。
生牡蠣と日本酒のペアリングのコツ
他方で、そのタイプに当てはまらない日本酒であっても、温度を変えたり割ってみたり、あるいは牡蠣に使う調味料を変更してみたりと、ひと手間加えれば美味しく楽しめました。