新そばが楽しめるようになる10月。10月8日はそんなそばにちなんだ記念日、「そばの日」です。そばも日本酒も古くから日本にある食文化で、縁の深い関係になります。そこで今回はそばの歴史を読み解きつつ、日本酒との楽しみ方をお伝えしていきます。
そばの歴史とそばの日
食欲の秋を迎え、さまざまな秋の味覚が旬を迎えようとしています。そんな秋の味覚の一つが新そばです。その年の秋に収穫したそばの実で作ったものを「新そば」や「秋そば」と言い、10月から12月頃に食べることができます。その新鮮さからもたらされる豊かな香りや味わいが魅力で、初物好きの江戸っ子たちも、やはり新そばに魅了されていたと言われています。
そんなそばは鎌倉時代から主食となった食品ですが、この頃は粒のまま粥にしたり、「そばがき」というそば粉をお湯で練って作ったりしたものが主流で、あまり美味しいものではないという位置づけだったそうです。
現在のような麺状のそばが食べられるようになったのは、室町から江戸時代の初期とされています。江戸時代には季節の筋目にあちこちの多くの大名から将軍家へ献上されるほどの高価な食べ物とされていました。江戸時代の後期には、そば粉と小麦粉を混ぜたそばが広く出回り、庶民が楽しむ食べ物となったそうです。
上記のようにそばは昔からある食べ物でしたが、そばの日が制定されたのは1999年と、意外にも最近のこと。「美味しいそばをたくさんの人に食べてもらいたい」という思いからつくられました。
そばの美味しい食べ方
日本の文化のひとつでもあるそば。ここからは、その繊細な風味を堪能するための美味しい食べ方をご紹介します。
今回ご紹介するそばを美味しく食べる3つの方法を実践いただければ、普段食べているそばでも格段に美味しく感じられるはずです。新そばの季節だけでなく、そばを食べる時はいつでも押さえておきたいポイントです。
提供されたらすぐに食べる
すする途中で噛み切らない
音を立てて食べる
そばと日本酒の楽しみ方
蕎麦前で日本酒を楽しむ
そば屋には、必ずと言ってもいいほど日本酒が置いてあります。
この風習の始まりは、江戸時代にまで遡ります。働く商人や武士などをターゲットとして、食事も取れてお酒も提供する場を作った際、主にそば屋に日本酒を置くことで需要を高めたそうです。
その当時は現代のようにそばを作り置きしておくことができなかったため、注文が入ってからそばを打って切り、茹でていました。そばの提供まで時間がかかるため、軽い食事と日本酒を楽しみながらそばを待っていたということです。これを”蕎麦前”と呼びます。
おつまみは、あっさりとした板わさなどから始めて、少し時間のかかるだし巻き玉子、そして油っぽい天ぷらという順番で食べるのがおすすめです。これらに合わせるお酒は、夏場にはきりっとした冷酒、冬はほっとあたたまる熱燗がおすすめ。
締めにはもちろん、そばを存分に味わってくださいね。日本酒を飲んだ後には、出汁の効いたそばがより美味しく感じられます。今でも、徳利を傾けてそば屋で日本酒をたしなむことは、そばの楽しみ方のひとつ。日本らしい粋な文化を楽しんでみてください。
日本酒とそば出汁を割って楽しむ
そばには鰹節や昆布出汁が使われることが多く、出汁割りにすると、どちらの場合も素材本来の旨味が感じられ、すっきりとしたまろやかな味に仕上がります。
出汁割りの魅力は、なんといっても5つの基本味(五味)全てが入っていること。五味は旨味、甘味、酸味、苦味、塩味の5つを指します。日本酒にはもともと旨味、甘味、酸味、苦味の4つが入っているため、そこに出汁の塩味が追加されることで五味全てが揃い、美味しさが詰まったお酒となります。
そのままでも十分に美味しいですが、天かすをトッピングすると悪魔のそば出汁割りが完成。さらに生姜をちょい足しして、より大人な飲み方もぜひ試してみてくださいね。