お酒には、ビール、日本酒、焼酎、ウィスキーなどさまざまな種類があります。その中でも日本酒は、近年世界的に人気となっており、種類も銘柄も多いお酒のひとつです。この記事では、日本酒は好きだけど詳しいことは知らないという方に、日本酒の種類ごとに特徴をわかりやすく解説していきます。
日本酒とは
日本酒は、米・米麹・水を主原料とした、日本の伝統的なお酒です。
日本酒の定義は酒税法によって定められており、原料や製造方法・アルコール分(22度未満)などの条件を満たしたお酒を「清酒」、その中でも国内産米使用・国内醸造の清酒のみが「日本酒」と呼ばれます。
日本のお米を使ったお酒といえば、「米焼酎」も思い浮かぶかもしれませんが、この2つには大きな違いがあります。
お酒にはさまざまな種類がありますが、大きな分類は「醸造酒」と「蒸留酒」の2つ。日本酒は「醸造酒」で、酵母の発酵作用で造られたお酒です。ビールやワインなどもこれに該当します。一方、米焼酎は「蒸留酒」。発酵によってできたお酒をさらに蒸留して造ったもので、焼酎の他にはウィスキーやウォッカなどが代表的です。
「日本酒は、お米から造られた醸造酒」であることをふまえて、以下で日本酒の分類について詳しくみていきましょう。
お酒の分類1:精米歩合と原料で8種類に分かれる「特定名称酒」
日本酒の種類が分からない方も、「純米大吟醸」と聞くと、なんとなく美味しそうなお酒のイメージがわくのではないでしょうか。
純米酒や吟醸酒などは、日本酒の中でも所定の要件を満たした「特定名称酒」と呼ばれます。ここでは、特定名称酒の分類についてご紹介します。
特定名称酒は吟醸酒・純米酒・本醸造酒など8種類に分けられる
日本酒(清酒)の定義と同様に、特定名称酒の分類も酒税法によって定められています。
特定名称酒は、大きくは吟醸酒・純米酒・本醸造酒の3種類に分けられ、原料や製造方法などの違いによってさらに8種類に分類されます。
まず吟醸酒は、低温でゆっくりと発酵させる「吟醸造り」が特徴です。その中でも精米歩合60%以下のものを「吟醸酒」、さらに50%以下を「大吟醸酒」と2つに分類します。香味は、フレッシュ・華やか・フルーティーなどと表現され、「吟醸香」とも称されます。
続いて純米酒は、米・米麹・水のみを原料とし、製造過程で醸造アルコールを添加しない日本酒です。米本来の旨味や甘味、コクを強く感じられるのは、お米や水だけで造られる純米酒ならでは。精米歩合の要件がない「純米酒」と、精米歩合60%以下または特別な製造方法を要件とする「特別純米酒」の2種類があります。
そして本醸造酒は、醸造アルコールが含まれている日本酒。その中でも、精米歩合70%以下の「本醸造酒」と60%以下の「特別本醸造酒」の2種類に分類されます。キリッと引き締まった味わいが特徴です。
残る特定名称酒は、「純米吟醸酒」と「純米大吟醸酒」の2種類です。この2つは、すでにご紹介した純米酒と吟醸酒、どちらの要件も満たし、両方の特徴を併せもった日本酒といえます。
以上が特定名称酒8種の分類ですが、このうちどれにも該当しない日本酒は、「普通酒」または「一般酒」などと呼ばれます。
分類のポイント1:精米歩合
日本酒は、精米したお米で造られます。精米工程を酒造りでは「お米を磨く」と呼んでいます。、精米歩合とは、玄米を削り残った割合を%で示したもの。例えば、精米歩合が60%だと、玄米を外側から40%削り取った状態のことです。
日本酒における具体的な精米歩合の数値としては、70%以下で本醸造酒、60%以下で吟醸酒、50%以下で大吟醸酒の要件を満たすことになります。
お米は表層部と中心部で成分が大きく異なり、精米歩合の違いで、日本酒の香味も変わります。よく磨かれたお米を使った日本酒ほど、香りが高く雑味がなくなるといわれています。
ちなみに、ご家庭でよく食べられている白米の精米歩合は平均90%前後。いかに日本酒がよく磨かれたお米で造られているかが垣間見えます。
分類のポイント2:原料の違い
全ての日本酒に共通した原料は、米と米麹、そして水です。それに加えて、「醸造アルコール」が原料に含まれるかで、特定名称酒は2つに分けられます。
醸造アルコールが含まれない日本酒は、純米酒・純米吟醸酒・純米大吟醸酒・特別純米酒の4種類。全て名称に「純米」が入り、米本来の味わいが楽しめるのが特徴です。
それ以外の本醸造酒・吟醸酒・大吟醸酒・特別本醸造酒の4種類には醸造アルコールが含まれます。醸造アルコールを含むことによって、飲み口がスッキリとし、雑味が抑えられ味や香りが引き立つといわれます。また、品質が安定するなどの特徴もあります。その他、特定名称酒に含まれる醸造アルコールは、白米総重量の10%未満と厳しく制限されており、これは普通酒との大きな違いです。
お酒の分類2:「火入れ」の違いでも種類が分けられる
「火入れ」のタイミング・有無でお酒の種類が変わる
「火入れ」は、もろみを搾った原酒を加熱処理する作業のこと。これによってお酒の酵素の働きを止め、品質の変化・劣化を抑えます。
通常の日本酒は搾った後にまず「火入れ」を行います。そして一定期間貯蔵した後、瓶に詰める前にもう一度「火入れ」を行います。合計2回の火入れを行っています。一方、全く火入れをせずに詰められた日本酒もあり、「生酒(本生)」と呼ばれています。また、火入れが1回のみの、「生貯蔵酒」と「生詰め酒」もあります。「生貯蔵酒」は火入れをしないまま貯蔵し、瓶詰め時のみ火入れした日本酒です。「生詰め酒」は火入れしてから貯蔵し、瓶詰め時には火入れをしていない日本酒です。
火入れをしない日本酒は、フレッシュな味わいと香りが特徴です。
貯蔵期間の長さでお酒の味わいが変わる
日本酒は火入れ後すぐに貯蔵タンクに詰められ、数ヶ月から1年間ほど貯蔵されます。そして貯蔵されることで、新酒のもつフレッシュさが落ち着いて、まろやかな酒質へと変わっていきます。適正な温度や保存環境で貯蔵されることで、調和の取れたまろやかさ・味わい深さ・酒の旨味が引き出されるのです。
さらに1年以上貯蔵・熟成させると、より重厚な味わいや香りに変化し、「古酒」「熟成酒」「秘蔵酒」などの名称を冠して販売されます。中には10年以上貯蔵されたものもあり、長期熟成酒として個性的な香味が楽しめます。
お酒の分類3:香りや味わいで4つのタイプに分ける方法
吟醸酒系など香りの高いお酒は「薫酒(くんしゅ)」
華やかな香りと、クリアな味わいが特徴の「薫酒」。お酒そのものの味を堪能するのはもちろん、食前酒やあっさりとした料理にもぴったりです。
「久保田」のおすすめ薫酒は「久保田 純米大吟醸」。
追求したのは、日本酒がはじめての人でも、飲んですぐ実感できる美味しさ。久保田の持ち味であるキレの良さとともに、洋梨やメロンを思わせる華やかな香りも併せ持つ逸品です。乾杯後に前菜と合わせて、食後にデザートやフルーツと合わせてお楽しみください。
生酒・本醸造系などすっきりしたお酒は「爽酒(そうしゅ)」
「爽酒」の特徴は、控えめな香りと軽快でなめらかな味わいです。代表的な爽酒は「生酒」で、多くの「本醸造酒」も当てはまります。さらっとした飲み口で、和食を中心に幅広い料理に合い、食中酒や日常酒としても人気があります。
その中でもおすすめなのは、食事に合う味わいを追求した、すっきり淡麗な「久保田 千寿」。
料理の味を邪魔することなく引き立ててくれるので、いつもの食事を少し特別にしたいときにぴったりです。
純米酒系などふくよかな香りとコクのあるお酒は「醇酒(じゅんしゅ)」
「醇酒」はその名のとおり、重厚でコクのある味わいの日本酒で、「純米酒」に多いタイプです。味付けのしっかりした料理にも負けることなく、食中酒として楽しめます。
おすすめの醇酒は、「久保田 碧寿」。
どっしりとした旨味は、伝統的な醸造方法である山廃仕込みならでは。併せ持つシャープな酸味とキレの良さも特徴です。グリルや炙りなど、香ばしい料理に合わせてお楽しみください。
香り・味わいともに力強い古酒や長期熟成酒は「熟酒(じゅくしゅ)」
その香りは、中国の紹興酒に例えられることもあります。「古酒」や「長期熟成酒」が代表的で、そのほか一部の「純米酒」も該当します。存在感があるので、料理と合わせるよりは単独で、または食後酒として飲むのがおすすめ。熟酒はそれぞれ個性的な味わいや香りなので、一期一会を楽しむのもまた一興です。