【Sakenomy】日本酒のイノベーション「楽器正宗」、福島のテロワール「自然郷」13本を飲み比べてみた

【Sakenomy】日本酒のイノベーション「楽器正宗」、福島のテロワール「自然郷」13本を飲み比べてみた
特集画像0福島県の西白河郡矢吹町で、味噌や醤油造りを営んでいた蔵元からのれん分けを受け1865年(慶応元年)に創業した大木代吉本店(おおきだいきちほんてん)。冬は酒造り、そして夏は自社田で米作りにも積極的に取り組んでいる。

代表銘柄は「楽器正宗(がっきまさむね)」と「自然郷(しぜんごう)」。

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楽しさを奏でる「楽器正宗」という名が誕生したのは、日本の国家「君が代」の作曲者と言われている奥 好義(おく よしさい)により「酒造りも楽器を奏でることも、元は同じく神様への捧げ物」と言われたことに由来している。創業から間もなく商品化された「楽器正宗」は、華やか淡麗の本醸造と、ジューシーな甘さと酸味のバランスに優れた純米酒があり、時代・嗜好の変化に合わせて常に進化し続けている。

自然を育み醸す「自然郷」は今から約50年前、米だけを原料とした酒造りを目指した四代目・大木代吉氏が矢吹町の豊かな自然への敬意を込めて「無添加酒-自然郷」と名付けて販売を始めた。まだ「純米酒」という言葉もないときに誕生した「自然郷」は、純米酒の先駆けとして多くの方に愛された。地元の米だけで作られており、米本来の旨みや麹の甘みをしっかり味わえるのが特徴だ。

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福島に蔵を構える酒蔵が乗り越えた事と言えば2011年の東日本大震災だろう。
14棟あった蔵のうち5棟が全壊する大きな被害を受けた大木代吉本店。地震で蔵が崩壊していくのを目の当たりにしたと語る五代目大木雄太氏。大きな打撃を受けた蔵を再建するため、大木氏は全国各地の蔵を見学し、そこで得たヒントから新蔵を建設した。まさにピンチをチャンスに変え蔵を救ったのだ。そして今までの季節杜氏での酒造り制度を一変し、五代目蔵元・大木雄太氏が杜氏を務めることとなった。

質より量を求められていた時代に造られていた「楽器正宗」を一度終売にし、6年前の2016年に新たに生まれ変わらせたのも、五代目蔵元兼杜氏の大木氏だ。この「楽器正宗」復活には「十四代」を醸す山形県・高木酒造の髙木顕綱氏の後押しがあったという。復活時は「本醸造」1本で勝負を。その後食中酒として日本酒を楽しむ時代に合わせて、低アルコール、原酒スタイル、そしてフレッシュでガス感のあるタイプの製造を開始し人気を博した。

華やかで淡麗辛口、食中酒として親しまれ、名前の通り音を奏でるラベルが特徴の「楽器正宗」と、自然由来の米本来の旨みを楽しめる軽やかな飲み口が特徴の「自然郷」計13本を飲み比べてみた。

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1. 楽器正宗 黒鼓 TYPE C

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メロンや柚子の皮を感じる華やかでフレッシュな香り。驚くべき透明感と滑らかな舌触りを持ち合わせている。心地よい苦味がスッキリとした後味に導いてくれて飲み疲れしない。美しい香りと味わいを最大限に楽しむなら、キリッと冷やしてワイングラスで飲むのがオススメ。

お刺身やカルパッチョなどのさっぱりしたものから、脂の乗った魚との相性も抜群。ノドグロや金目鯛の塩焼きと一緒に合わせるのが◎。

2. 楽器正宗 純米吟醸 愛山 中取り

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桃やメロンのジューシーな甘さと柑橘類のフレッシュな香り。酒米「愛山」の特徴である艶やかな甘みと旨みがしっかり出ており上品な深みを感じる。スッキリとした後味が特徴で、よく冷やしワイングラスで飲むのが◎

お酒に甘みがあるので、鶏肉や豚肉に山椒やハーブなどでアクセントを効かせた料理や、タイ料理などスパイシーな味付けの料理と合わせたい。

3. 楽器正宗 純米吟醸 山田錦 中取り

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優しいリンゴや洋梨の香りが広がる。酒米「山田錦」から引き出される豊かな旨味は、なめらかで上品な味わいに深みと複雑さを与え、そこに爽やかな酸が入っていることで、心地よいバランスがとれている。

脂の乗った鯵のたたきや鯵のなめろう、〆鯖や、アクアパッツァなど地中海料理との相性が抜群。

4. 楽器正宗 純米吟醸 雄町 中取り

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シトラス系のフレッシュな香りの中にお米やミネラルを感じる。口に入れた第一印象は柔らかく繊細な甘さを引き出し、後から酒米「雄町」の豊かな旨みとハーブのような心地よい苦味を演出してくれる。食中酒にピッタリの1本。

バランスの良い味わいと旨みを持つこのお酒は、さまざまな料理との相性を楽しむことができるが、焼鳥や魚介類のバターソテー、アサリのパスタなどと特によく合う。

5. 楽器正宗 純米吟醸 出羽燦々 中取り

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青りんごや、ヨーグルトの乳酸の優しい香り。山形県が生んだ酒米「出羽燦々」の個性をキレイに表現している。柔らかくまろやかな甘みの後に、旨みと爽やかな酸味、そして最後に感じる苦味が爽やかな印象を与えてくれる。冷やして飲むのが◎

生牡蠣やボタン海老、カニなどの甲殻類から、フレッシュチーズを使ったサラダなど、素材の味が引き立つ料理との相性抜群。

6. 楽器正宗 Queen(クイーン)

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蒸したお米や乳酸系の優しい香り。アルコール度数は12度と低く、お米の甘さと旨み、爽やかな酸味と苦味のバランスが良くとても飲みやすい1本。

サラダや野菜を使った料理、白身魚のフライをシンプルに塩とレモンで合わせたものなどと◎。オリーブオイルをたっぷり使ったパスタとも良く合う。

7. 楽器正宗 純米酒 純醸

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バナナや蜂蜜、リンゴを感じさせる甘い香り。なめらかな口当たりと米本来の甘みと旨みのバランスがとれていて飲みやすい印象。やや辛口で後味に柑橘系の皮のような渋みが残るのが特徴の飲みやすい純米酒。

ウニやキャビア、明太子など塩気の効いた魚卵との相性がとても良い。ごま油を使った中華風の料理と合わせても◎。

8. 楽器正宗 本醸造 別撰 中取り

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熟したバナナや甘いリンゴ、蒸したお米の優しい香り。口当たりはなめらかでミディアムボディ。バランスのとれたジューシーな酸味と心地よい苦味がアクセント。10〜15度くらいに冷やして飲むのがオススメ。

キレのある後味が特徴的なこのお酒は、餃子や点心、イカや豚肉を使った炒めものなどの中華料理を引き立ててくれる。

9. 楽器正宗 本醸造 中取り

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桃や苺のような華やかな香りが、乳酸と米の落ち着いた香りで支えられている。甘み、旨み、酸味、苦味が絶妙なバランスで調和されていて、後味スッキリ。食中酒として楽しむには最適な1本。冷やしても、燗にしても美味しく飲める。

どんな食事とも合うが、特に塩気のある生ハム、白身魚のバター焼きや西京漬けなどコクのある料理との相性が良い。

10. 自然郷 CUVEE’18(キュヴェ18)

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オーク樽熟成による甘い濃厚な樽の香りが特徴。複雑で重層的な味わいと、ワインのようなジューシーな酸味がバランスよく調和している。後味はやや辛口よりでスッキリ。

ハーブを使ったスパイシーな料理との相性が良いので、タイ料理、中華料理、インド料理そしてメキシコ料理など多国籍な料理と合わせることができる。

11. 自然郷 seven(セブン) 純米吟醸

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ブドウやリンゴ、柑橘類の皮など、白ワインを連想させる香りが特徴的。冷やしてワイングラスで飲むのがオススメ。飲みやすいミディアムボディの純米酒。

スッキリとした酸と柔らかい甘みは串と合わせるのがピッタリ。焼鳥や野菜、魚介類を塩でシンプルに焼いたものと一緒に◎。

12. 自然郷 BIO(バイオ)特別純米

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柑橘類の優しい香りにほのかに香るヨーグルトのような乳酸。優しくも豊かな味わいが口の中で均一に広がり、中盤から複雑さと深みが増していく。爽やかな酸味とミネラルのような渋みを感じる。

寿司やお刺身と合わせるのが◎。お酒のミネラル感が、光り物の味を引き立ててくれる。鯵やコハダ、秋刀魚などと良く合う。

13. 自然郷 芳醇純米

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ジューシーなマスカット、蜜をたっぷり含んだリンゴにバナナや柑橘類と豪華な香り。上品なコクと爽やかな酸味が絶妙なバランスで、スッキリした辛口に仕上がっている。アルコール度数は13度と低く、食前〜食後まで楽しめるお酒。

アルコール度数が低いので、脂っこい料理は避けたほうが良い。白身魚の刺し身や寿司、焼き魚、おでんなどとの相性が抜群。

まとめ1

どんな食事にも寄り添う「楽器正宗」は「肉、魚、和食はもちろん、チーズから中華まで」様々な場面で活躍し、料理と合わせることでお酒の味わいのポテンシャルを最大限に発揮してくれる最高の食中酒と呼べるだろう。

地元、福島で育った米を使用して、福島で醸すテロワール。この土地でしか出せない味が詰まった「自然郷」は、味の変化も楽しませてくれる。栓を開けた一杯目は穏やかな香りにフレッシュな微炭酸を感じ、二杯目はゆっくりとまろやかに変わっていく質感を楽しめる。

そして最後に、大木代吉本店が手がける多くの料理人から愛される料理酒「こんにちは、料理酒」も大人気商品だ。在庫の山となっていた甘口の「自然郷」を料理酒として二次利用したのがきっかけで生まれた「こんにちは、料理酒」は素材の味を最大限に引き立て、旨みとコクを加える魔法のような料理酒。

飲む酒、食べる酒と、新しい挑戦を続ける大木代吉本店からは今後も目が離せない。

 

テイスティングコメント:ウイルソンライ レベッカ(Rebekah Wilson-Lye)
【ウイルソンライ レベッカ(Rebekah Wilson-Lye) プロフィール】
株式会社 JAPAN CRAFT SAKE COMPANY 海外PR・企画、輸出事業部長
SEC Certified Advanced Sake Professional
WSET® Sake Level 3 Educator
ニュージーランド出身の日本酒専門家。
2016年からIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の日本酒部門の審査員を務め、企業や5つ星ホテル、世界有数のレストラン向けの日本酒コンサルタント、日本酒教育、世界市場向けのトレーサビリティーのあるマイナス5℃の日本酒輸出システムの開発などに携わり活動中。

 

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