土用の丑の日と言えばうなぎを食べるのが一般的ですが、お財布がピンチだったりうなぎが苦手だったりとうなぎに手を伸ばしにくい理由があることも。実は、土用の丑の日にはうなぎ以外にも「う」の付く食べ物や、黒い食べ物を食べてもいいとされています。本記事ではうなぎだけではない土用の丑の日に食べたい食べ物、そして一緒に合わせるとより美味しく楽しめる日本酒を取り上げます。どの食べ物の力を借りて夏を乗り越えるのがベストか、ぜひ考えてみてください。
土用の丑の日に栄養を摂って酷暑を乗り切ろう
あっという間に梅雨明けし、各地で厳しい暑さとなっている今年の夏。この暑さに体がついていかないという人も多いのではないでしょうか。
もうすぐやってくる「土用の丑の日」はその厳しい暑さを栄養価の高い食べ物を食べることで乗り切ろうという風習のある日で、2022年は7月23日(土)と8月4日(木)です。
現在のように土用の丑の日にうなぎを食べることが定番になったのは、発明家・平賀源内のある施策が始まりだと言われています。うなぎは冬が旬のため夏に売れなく困っている、とうなぎ屋に相談された平賀源内は、「本日丑の日」と書かれた看板を出すことを提案しました。たちまち大繁盛して話題になり、それが全国に広がったそうです。
本来は「丑」にちなんだ「う」のつく食べ物を食べて縁起を担いだり、丑の方角の守護神「玄武」が黒の神様であることにちなんで黒い食べ物で厄除けをしたりする習わしがありました。
そのため、土用の丑の日には「う」がつく食べ物であるうどん、梅干し、牛肉、瓜など、そして黒い食べ物のなす、どじょう、しじみ、黒豆、黒ごまなどを食べてもよかったのです。
酷暑×値上げラッシュの今年こそ、うなぎ以外の力も借りよう
食品や生活必需品など幅広い分野で値上げラッシュが相次いでおり、電気代もその1つ。とは言えこうも厳しい暑さでは冷房に頼らないわけにはいかず、今年の夏は電気代を見るのが怖くなってしまいます。
そのような状況下では、「お財布がピンチで今年は土用の丑の日にうなぎは食べられなさそう…」と思ってしまうのも仕方のないこと。こんな時こそ「う」のつく食べ物や黒い食べ物で代用してみませんか?
「う」のつく食べ物や黒い食べ物を用意すれば、うなぎが苦手な人とも土用の丑の日の食卓を楽しむことができます。スーパーで簡単に揃う材料でパパっと作れてしまうものもあるので、炎天下から帰ってきて疲れていても支度に気が重くなることはありません。
また、せっかく土用の丑の日が2回ある今年の夏は、それぞれ定番のうなぎ、そしてうなぎ以外のものを食べ、夏を乗り切るのもいいでしょう。
ここからは土用の丑の日におすすめの、夏に食べたい「う」がつく食べ物や黒い食べ物、そして食事をさらに美味しくしてくれる日本酒もご紹介します。江戸時代から伝わる風習、どうせなら日本酒と共に楽しんでみませんか?
さっぱり梅ぶっかけうどん
まずは「う」のつく食べ物として、梅干しとうどんを使った「さっぱり梅ぶっかけうどん」はいかがでしょうか。
麺に直接つゆを「ぶっかけ」るぶっかけうどんは、暑い季節に食べたくなります。のど越しがよくつるつるとした冷たい麺と濃い目のつゆが、食欲の湧かない時にも食べやすく、老若男女が楽しめる一品です。
うどんは風邪を引いた時に食べるという人も大勢いるように、消化がよく胃への負担が軽いうえに、エネルギー源として吸収されやすいので、お疲れ気味の体を労わるにはぴったりの食材です。
そんなうどんに梅を加えれば、夏バテ対策レベルがさらにアップ。「梅はその日の難逃れ」ということわざもあるように、梅干しに含まれるクエン酸には、疲労回復や食欲増進の効果が期待できます。梅干しの持つ酸味が口の中はもちろん気分もリフレッシュさせてくれます。
さっぱりとした味わいの梅ぶっかけうどんには、穏やかな香りの日本酒と合わせるのがおすすめです。冷たい料理なので、日本酒も5~10℃の冷酒で飲むのがいいでしょう。
一緒に味わいたい日本酒は「久保田 百寿」
香りの主張は控えめに、辛口で飲み飽きしない酒質に仕上げた、「久保田」の基本形。飲んだ後はドライさを感じます。
酸味が少ない「久保田 百寿」に梅ぶっかけうどんの梅干しの酸味が加わることで、味わいが豊かに広がります。
希望小売価格
1,800ml 2,010円(税込2,211円)
720ml 920円(税込1,012円)
すだち香る塩出汁でいただく牛冷しゃぶ
こちらも「う」がつく食べ物として、牛の肉を使った「牛冷しゃぶ」。
冷しゃぶは夏バテ予防に効果的な栄養素を摂ることができ、また調理も簡単というのが嬉しいところ。お肉だけでなく野菜も一緒に食べられるので、バランスのよい食卓になるのも魅力です。
牛肉にはエネルギーとなる良質なたんぱく質や脂質、そしてエネルギー代謝の潤滑油となるビタミンが含まれています。そのため牛肉はスタミナをつけたい時にばっちりの材料なのです。加えて、他のお肉に比べて鉄分が豊富というのも牛肉の特長。鉄分は汗でどんどん流れ出てしまい、不足すると貧血の症状を引き起こす恐れもありますので、今の時期こそ積極的に補給したい栄養素です。
そして食べる時に使う出汁には、梅干しと同様にクエン酸を含むすだちを使うことでさらに健康的に。
そんなすだちが香る上品な塩出汁で食べるしゃぶしゃぶは、香り高く華やかな日本酒と合わせることでさらに奥深い味わいになります。素材の味を引き出してくれる日本酒を合わせると、牛肉特有のサシの甘味、野菜の甘味を存分に感じることができます。
一緒に味わいたい日本酒は「久保田 萬寿」
華やかな香りと重厚な味わいが重なり合い、複雑で深みのある口当たりが広がる純米大吟醸酒。麹から生まれるふくらみのある柔らかさの中に、旨味・甘味・酸味が調和し、心地よい余韻が喉元まで続き、上質な時を彩ります。
すだちが香る上品な塩出汁の旨味をさらに引き出してくれます。
希望小売価格
1,800ml 8,110円(税込8,921円)
720ml 3,640円(税込4,004円)
あっさりなすの浅漬け
お次は黒い食べ物の代表として「なすの浅漬け」。
なすは6月から9月にかけて旬を迎える夏野菜です。なすには体を冷やす働きがあり、体の内側から余分な熱を取り除いてくれます。なすは9割以上が水分で構成されており、発汗などで不足しがちな水分の補給にも一役買ってくれます。
また、なすに含まれるコリンという成分は食欲不振にも効果があります。このことから、夏に心配される不調の対策に最適な夏野菜なのです。
そんななすを食べるなら、食欲が落ちた時もパクパク食べられるあっさりとした浅漬けはいかがでしょうか。常備菜として作り置きしておけばいつでも手軽に野菜が摂取でき、汗で失ってしまった水分や塩分も補給できて大助かりです。
味わいの主張が穏やかななすの浅漬けには、淡麗ですっきりとした日本酒がよく合います。軽く冷やして飲むのがおすすめです。
一緒に味わいたい日本酒は「久保田 千寿 純米吟醸」
綺麗ですっきりとした味わいと、上品で澄んだ香りでバランスのとれた、料理の邪魔をしない純米吟醸酒。口当たりはやわらかく、ドライな飲み口を楽しめます。冷やすとほどよい酸味とキレを感じられます。
爽やかな酸味がさっぱりとしたなすの浅漬けとよく合います。
希望小売価格
1,800ml 2,800円(税込3,080円)
720ml 1,300円(税込1,430円)
300ml 650円(税込715円)
うなぎの蒲焼き
最後は「う」がつく黒い食べ物として、やはり外せない真打、「うなぎの蒲焼き」。
うなぎには非常に多くの栄養素が入っています。エネルギー代謝に重要なビタミンB1、ビタミンB2のほか、汗で失われがちで、不足するとだるさや食欲不振に繋がるとされているカリウムと、夏バテや疲労の回復にとても効果的な栄養素もしっかり含まれています。
ところでお店でうなぎの蒲焼きを頼むとついてくることが多いのが「奈良漬」。うなぎの蒲焼きによく合うという味の面での相性はもちろん、瓜の奈良漬も「う」のつく食べ物の1つだから、という理由でこの組み合わせが一般的になったという説があります。
水分量とカリウムが豊富な夏野菜である瓜は、体の熱を冷まし、体の水分や塩分バランスを整えてくれると言われています。また、奈良漬に含まれるメラノイジンという抗酸化物質は、血管内の健康を守る効果や整腸効果があるそうなので、土用の丑の日のうなぎには奈良漬もセットで用意したいところです。
うなぎの蒲焼きと奈良漬けの両方に合わせるなら、すっきりとした喉越しの日本酒がベストです。うなぎの脂の乗った濃厚な味わい、そして奈良漬の、酒粕に由来するほどよい甘味を邪魔することなく寄り添ってくれます。
一緒に味わいたい日本酒は「久保田 千寿」
綺麗ですっきりとした淡麗な味わい、穏やかな香りに仕上げた、いつもの食卓を少し特別にする「食事と楽しむ吟醸酒」。喉をさらっと通るキレの中に、米本来の旨味と酸味とともに、ほのかな余韻や甘味が感じられます。
うなぎの蒲焼き、奈良漬の両方に寄り添い、影のようにその味と香りを引き立ててくれます。
希望小売価格
1,800ml 2,430円(税込2,673円)
720ml 1,080円(税込1,188円)
300ml 500円(税込550円)
今年の土用の丑の日はどの食べ物の力を借りよう?
汗ばむ陽気の中で生活していると、それだけで体はぐったりしてしまいます。今年の「土用の丑の日」はうなぎだけでなく「う」のつく食べ物や黒い食べ物の力を借りて美味しく栄養をチャージしましょう。簡単に用意できたりお財布に優しかったり、あるいはうなぎが苦手な人とも楽しめたりと、うなぎ以外の食べ物ならではの利点もあります。
もちろんそのままでも美味しく食べられますが、相性ぴったりの日本酒と共に味わうことで、素材や料理の持つ魅力がさらに際立ちます。せっかくの日本ならでは風習ですから、ぜひ日本酒を片手に楽しんでみてください。