今回は、青森県十和田市で1899(明治32)年創業の鳩正宗株式会社「鳩正宗 純米酒 りんご酸酵母仕込み」です。「青森だからりんご」というわけではなく、清酒に含まれている約40種の有機酸のなかで約8割を占めるのが乳酸,コハク酸,りんご酸なのだそうです。その「りんご酸」を多く産出する酵母が「りんご酸高生産性清酒酵母」で、それを使用した鳩正宗ということです。
鳩正宗株式会社について
稲本商店醸造部として発足、付近を流れる稲生川にちなんだ「稲生正宗」を醸していましたが、昭和初期に白鳩が神棚に飛び込んできたことで酒名を「鳩正宗」に改称、その後、第二次大戦中に企業合併をしてニ北酒造株式会社三本木工場となり、1984(昭和59)年に独立して鳩正宗株式会社となりました。現在は「鳩正宗」「吟麗」「八甲田おろし」を醸しています。
立地としては八戸から奥入瀬渓谷に向かう途中にあります。「鳩正宗」といえば有名なのが佐藤企杜氏です。地元の三本木農業、東京農大と酒造りのエリートコースをたどって鳩正宗株式会社に入社、南部杜氏となって現在は自身の名を冠した「佐藤企」も醸されています。
「鳩正宗 純米酒 りんご酸酵母仕込み」
青森県産まっしぐら100%使用で60%精米です。前述のとおり「りんご酸」を多く含んでいるため、さわやかな酸味が続き、少し重めの味わいのおかずやつまみでも口中をさわやかにしてくれます。香りもなんとなく青りんごのようなフルーティな香りで、控えめですが甘味を感じます。それでも最後にはさわやかに〆てくれます。
購入したときは、「天吹酒造」の花酵母やバナナ酵母のようなイメージで、青森だから「りんご酸酵母」なのだと思っていたのですが、まったく違うことに驚きました。酸味が効いた日本酒が好きなことにも気が付いたので、暑いときなどにいいと思いますが、そのころには品切れになってしまっているでしょうから、なかなかうまくいきませんね(笑)