今回は、山形県鶴岡市で1778(安永7)年創業の冨士酒造「榮光冨士 純米酒 無濾過生原酒 新 㐂粋」です。私が好きな酒蔵ベスト10のひとつです。
冨士酒造について
冨士酒造は「賤ケ岳の七本槍」の一人、加藤清正の流れをくんでいます。福島正則と同様、関ケ原の戦いでは徳川方の東軍につき、生前は熊本や大分などを治めていましたが、清正死後3代目の忠広の時代に改易されて出羽庄内藩預かりとなりました。その加藤忠広の女子が冨士酒造の祖となって、現在の13代加藤有慶社長に至ります。定番商品から限定品まで非常に多くの商品を出されていて、どれも一定以上の味わいを実現しているのが特徴です。
「榮光冨士 純米酒 無濾過生原酒 新(あらた) 㐂粋(きすい)」
山形県産つや姫100%使用で70%精米です。通年商品「新~ARATA~」(あらた)シリーズの純米酒で、他には神力を使った純米大吟醸、出羽の里を使った純米吟醸があります。個人的に食用米の「つや姫」を好んで食べていますが、「つや姫」らしさを感じる旨味があり、甘味もあって美味しいです。
疑問なのは、なぜ「冨士」がついているのかということです。静岡と山梨にまたがるのは富士山で、うかんむりとわかんむりの違いがあります。庄内富士「鳥海山」ということなのか、日本一の「富士山」にあやかって、遠慮がちにうかんむりの点を無くしたのかもしれません。また、表ラベルが本名の「榮光冨士」なのに、裏ラベルは「栄光冨士」と、いろいろな疑問点やつっこみどころ満載の酒蔵でもありますので、目が離せません(笑)