今回は、秋田県山本郡八峰町で明治34年創業の山本酒造店です。酒どころとして知られている秋田県ですが、想いを一緒にする5つの蔵で「NEXT5」という同世代の蔵元による研究会のような集まりがあります。そのひとつがこの「山本」、「白瀑」を醸している山本酒造店です。他の4蔵は「新政」の新政酒造、「春霞」の栗林酒造店、「ゆきの美人」の秋田醸造、「一白水成」の福禄寿酒造となります。いいライバルとして情報を共有しながら秋田県の日本酒を盛り上げていこうという趣旨となっていますね。
山本酒造店について
乗り鉄の憧れである「五能線」東八森駅の近く、白神山地のおひざ元にある酒蔵です。創業から地元酒として「白瀑」を醸してきましたが、近所に白瀑神社があり、酒名はそこから採っています。2007年に音楽プロダクションに勤めていた山本友文氏が代表になってから、地元で酒米を栽培し、純米酒のみの生産に舵を切り、自らの名をつけた「山本」の生産を開始し、2019年から秋田県の酒米だけで造りを行っています。
最近、イメージカラーを使って英語の別名を付けているようで、今回は「バタフライパープル 山本」。これまでの写真を見返すと、使用している酒米「亀の尾」にこのパープルを使っているようです。「亀の尾」はもともと山形県の酒米でしたが、栽培の難しさなので一度廃れ、コミックにもなった「夏子の酒」のモデルである久須美酒造が復活させたものですが、元の「亀の尾」から分離した「亀の尾4号」という品種が秋田県大潟村で栽培されているということで、この「亀の尾」はそちらなのだと思われます。
「山本 純米吟醸 亀の尾仕込」
亀の尾100%使用で55%精米です。栽培も難しいですが、酒造りも難しいという亀の尾ですが、比較的とろみがあるタイプが多いです。しかしながら、このお酒はフルーティな香りにサラサラとキレイで軽い吞み口ですね。ほんのり酸味があって、甘味は控えめです。とてもバランスよく仕上がっています。
「山本」は代表の性格もあるのか、いろいろなチャレンジを行っていて、面白い酒蔵です。私は秋田県の日本酒を好んで呑んでいますが、ハズレがないのも秋田県の特徴ですね。