今回は佐賀県三養基(みやき)郡で元禄年間(1688年~1704年)に創業の天吹酒造「日下無双 純米スパークリング」です。三養基郡は佐賀県と福岡県の県境にある鳥栖市の隣ですが、ほとんど福岡県で南は久留米市に隣接しています。近くには筑後川が流れ、吉野ケ里遺跡もあるので古くから稲作が行われていたところです。背振天山の伏流水を仕込み水に使い、300年もの間、酒を醸しています。メイン銘柄の「天吹」はバナナ酵母やイチゴ酵母など、花から分離した「花酵母」を使うことで知られています。
「日下無双」と「佐賀県」について
「日下無双」はもともと、山口県岩国市の村重酒造で杜氏を務められていた「日下信次」氏の名を冠し、世界、天下にならぶものがないほど優れているという意味があります。その日下杜氏が2019年に九州一の日本酒どころである佐賀県の天吹酒造に移り、2020年から「日下無双」造りを再開したというわけです。
ちなみに九州は焼酎のイメージが強いですが、佐賀県は日本酒の一人当たり消費量が九州では一番、全国でも13位で、なんと15位の東京都より上位(2018年)となっています。「天吹」はもちろん「鍋島」「東一」「竹の園」など有名な銘柄がありますね。
話は戻って「日下無双」といえば、赤いビンが思い浮かびますが、昨年飲めなかったので、また巡り合ったときにご紹介します。
ということで、
「日下無双 純米スパークリング」
山田錦100%使用で60%精米です。肩には「危険・吹き出し注意」「開栓の仕方」が書かれている札が掛けられています。嗅ぐだけでドライとわかる、華やかですが尖った香りに、まさに「美」発泡と言いたいほど、ちょうどいいくらいにピリッとくるガス感を感じます。口に含むと甘さがないものの旨味を感じます。ピリリ感を我慢しているとだんだん控えめな甘さが現れてきて、喉ごしも爽やかに消えていきます。
これまで、獺祭スパークリング、七賢スパークリングと、ドライ系で食後の締めの一杯を呑んできましたが、これは極めつけのドライ感ですね。魚や肉の脂で口の中がベタベタしているときに、まさにリセットしてくれる銘柄に出合えました。超オススメです。