今回は、1872年創業、栃木県小山市の小林酒造が醸す「鳳凰美田」です。当時、美田(みた)村という良質な米の産地にあったことから「鳳凰美田」と名付けられました。番外編として「美田鶴」という銘柄もありましたが、ここのところ見かけなくなっています。現在の5代目蔵元・小林正樹氏は日本の蔵元に多い東京農大出身。醸造試験場での2年間を経て、90年に小林酒造に入社しています。
「鳳凰美田 黒判 復刻版 限定酒 無濾過本生」
この「鳳凰美田 黒判」は、コロナ禍で暗くなっている世の中を明るく照らしたいとの願いを込めて復刻されたものです。
山田錦100%使用で45%精米です。いつものマスカット香というよりはもう少し甘味のある香りに、スッキリとした口当たりですが甘味があります。でも、いつもの鳳凰美田よりは控えめの甘さで、呑み飽きしない美味しさになっています。呑み後は旨味の余韻が残り、食中酒というよりは食前か食後がいいような気がします。
この黒判の裏ラベルには、いつもの温度変化での愉しみが書いてありません。呑んでいても、あまり味わいが変わらないので(温まらないうちに呑んでしまっているのかもしれません)いいのですが、鳳凰美田は温度が下がると甘味が際立ってきますので、私的には冷たいうちに呑みたい銘柄です。