今回は、山口県下関市で2019(令和1)年創業(?)の長州酒造です。創業のあとに?があるのは、1871(明治4)年創業の児玉酒造が廃業の危機に瀕したため、山口県の本社があって太陽光発電などの事業を行っている「長州産業」(卓球の石川佳純選手の応援もされています)が事業継承の形で引き継いで名称変更したからです。
とはいえ、建物から機材からすべて新しくなって、杜氏も「八咫烏」「川鶴」「作」などで修行されていた女性杜氏の藤岡美樹氏を招へい。児玉酒造の銘柄「菊川」と、今、大評判となっている「天美」を醸し、昨年11月に「天美 the first」が初出荷されたという出来立てほやほやの酒蔵です。
「天美 特別純米 生原酒」
麹米・山田錦、掛米・西都の雫で60%精米です。控えめな香りにほんのりガス感がありますが、トロッと滑らかな口当たりで柔らかい甘味、「そっと寄り添うような癒しの一杯」とラベルにあるようなふんわりした味わいのお酒です。人気の出そうな流行りの味ではありますが、冷えているのにあまり冷たさを感じない滑らかな感じは独特ですね。
修行されていた人気蔵の味わいを知り尽くしている藤岡杜氏のベストがどうなるのか、これからの愉しみになりますね。