お屠蘇とは無病長寿を願って正月に飲むお酒ですが、その由来や正しい飲み方をよく知らない方も多いことでしょう。今回は、そんなお屠蘇について、本来の意味・歴史・作法などを詳しく解説します。家で作る方法も紹介しますので、新年を迎える準備に活用してみてください。
お屠蘇(おとそ)の基礎知識
お屠蘇の中身
お屠蘇は屠蘇散(とそさん)と呼ばれる5~10種類の生薬を配合したものを、日本酒やみりんに漬け込んだ薬草酒です。使用する日本酒やみりんによってアルコール度数は変化しますが、おおよそ15度前後です。
屠蘇散に使用されるものは、製造メーカーによって異なります。ただし、体に良い作用を持つものが調合されています。使用される材料のなかでも、一般的なものはこちらです。
・「山椒(サンショウ)」胃を健やかに整える
・「陳皮(チンピ)」血行を良くして冷えの改善が期待できる
・「桂皮(ケイヒ)」または「肉桂(ニッケイ)」発汗や解熱、整腸作用
・「桔梗(キキョウ)」去痰作用や鎮静、鎮痛作用
・「八角(ハッカク)」抗菌作用や健胃作用
・「白朮(ビャクジュツ)」健胃作用や利尿作用
・「防風(ボウフウ)」発汗や解熱作用、抗炎症作用
お屠蘇の語源
お屠蘇の歴史
地域によって中身が異なるお屠蘇
お屠蘇の飲み方
お屠蘇を飲むタイミング
お屠蘇に使う盃
お屠蘇の基本的な作法
ここからは、お屠蘇の基本的な作法を紹介します。
お屠蘇を飲む前に、元日の朝汲んだ、年明け最初の水「若水」で手を清めましょう。次に神棚や仏壇を拝みます。家族が揃い、新年の挨拶をすませたら、全員で東の方角を向きます。お屠蘇を注ぎ、年少者から年長者へと順番に飲みます。このとき、厄年の人は最後に飲むのがしきたりです。 これは、厄払いの力を分けてもらうという意味があります。
三段重ねの盃で1杯ずつ3回に分けて飲むのが正式な作法ですが、屠蘇器がなければ1つの盃に3回に分けて注ぎ、それを3回に分けて飲み干せば良いとされています。飲むときには、無病息災や長寿を願いながら「一人これ飲めば一家苦しみなく、一家これ飲めば一里病なし」と唱えるのがお屠蘇の正式な飲み方です。
地域や家庭によって作法が異なる
基本的に、毒見を兼ねて年少者が最初に飲み年長者へと進める地域が多いなか、年配者が英知を若者に分け与えるため先に飲むというしきたりがある地域も。その他には、三段重ねの盃で3回に分けて1杯ずつ飲む代わりに、中盃のみを使い、略式で飲む家庭もあります。
自宅でお屠蘇を作る方法
用意する材料
お屠蘇作りの手順とコツ
お屠蘇作りの手順はきわめてシンプルです。酒と本みりん合わせて300mlに、パック入りの屠蘇酸一包を入れ、5〜8時間ほど漬け込むだけです。日本酒が多いと辛口に、みりんが多いと甘口に仕上がります。お好みの分量で配合するのがポイントです。
屠蘇散の商品によって漬け込む時間が異なるので、パッケージにあわせて作りましょう。漬け込みすぎると濁りが出るので、様子を見ながら時間を調節してください。
また、酒やみりんの品質がお屠蘇の味を左右しますので、美味しいお屠蘇を作るには上質な酒やみりんを選びましょう。
お屠蘇におすすめの「久保田 千寿」
お屠蘇の味は、ベースとなる日本酒が重要です。上質で美味しいお屠蘇を作るためにおすすめしたいのが「久保田 千寿」。1985年に久保田最初の日本酒として誕生して以来、久保田の代表的な日本酒として今もなお愛され続けています。低温かつ精度の高い発酵経過を心がけ、雑味の少ない日本酒に仕上げています。穏やかな香りのすっきりしたお酒なので主張が強すぎず、お屠蘇としてもぴったりです。
希望小売価格(税抜)
1,800ml 2,430円
720ml 1,080円
300ml 500円