「紀土」(きっど)は、和歌山から全国へと人気を広げる日本酒です。紀土を造る平和酒造は、若き蔵人たちが酒造りに邁進する酒蔵。原料である酒米は、地域の人々とともに自社で栽培されています。
こちらでは、紀土の味わいやおすすめ銘柄、購入方法をご紹介!躍進を続ける紀土の魅力を、ぜひお楽しみください。
目次
1.日本酒の紀土(きっど)とは
紀土は、ミカンや梅、柿といった多くの果実が生産される和歌山県で生まれた日本酒です。中でも、紀土の造られる溝ノ口は古くから稲作の盛んな地域。紀土の原料となる米も、杜氏や蔵人、地域の人々によって栽培されています。
仕込み水に使われるのは、高野山伏流水である井戸水。四方を山に囲まれた溝ノ口は朝夕の冷え込みが厳しく、稲作、温度、水と酒造りに適した条件が揃った環境下で紀土は造られているのです。
香り良く米の旨味にあふれ、何杯でも飲み進めたくなる紀土は、食事の味を引き立てる究極の食中酒。数々の賞を受賞するハイスペックな酒質でありながらコストパフォーマンスに優れ、日本酒好きからも高く支持されています。
1-1.酒造元について
紀土を造る平和酒造は、昭和2年創業の酒蔵です。第二次世界大戦の混乱の中、酒造の休業を強いられた2代目・山本保正氏は「休業蔵再開」の陳情演説を行うため、国会へと足を運びます。「平和酒造」の名前には、戦後の平和な時代で酒造りをするという希望、情熱が込められているのです。
昭和60年代まで、京都の大手メーカーの桶売り蔵として経営を続けていた平和酒造に、大きな革命を起こしたのが4代目・山本典正氏。和歌山が誇る梅などの天然果実を使ったリキュール「鶴梅」のリリースをきっかけに、着実に自社ブランドの確立を果たしていくのです。
2007年9月には、蔵のメインブランドとなる「紀土」を販売。「自分たちが造りたい物を造ろう」という想いから生まれた紀土は、全国新酒鑑評会でたびたび金賞に輝き、和歌山の地酒に新たな歴史を刻み込んでいます。
1-2.紀土という名の由来
「紀土」(きっど)という印象的な名前には、「紀州の風土」「KID(子ども)とともに自分たちも成長していこう」という意味が込められています。
その名のとおり、紀土は地元の人々とともに生まれるお酒。原料となる酒米の栽培も、後継者不足に悩む地域の農家と稲作農家出身の蔵人の想いが結びついて実現したものです。「酒は生き物、人は掛け橋である」という蔵の想いを乗せ、紀土は紀州を代表するお酒として全国へとその名を広げています。
2.紀土の種類と値段について
紀土は、酒米の旨味を引き出した純米酒を中心に製造しています。価格帯も1本1000円台からと求めやすく、高品質な味わいを日常酒として楽しみたい方におすすめの銘柄です。最高峰となる純米大吟醸は50,000円台と、大切な方への贈答用にもふさわしい1本。ぜひ好みに合わせた紀土を見つけてみて下さいね。
2-1.純米吟醸
精米歩合 (麹米/掛米) | 酒米 (麹米/掛米)
| 価格 |
50/55% | 山田錦/五百万石 | 720ml:1243円(税込) 1800ml:2486円(税込) |
評判
飲みやすい透明感のある味わいで、食中酒として人気の高い銘柄です。香りは青リンゴのように爽やかでフルーティー。日本酒を飲み慣れない方にもおすすめの、やわらかな口当たりのお酒になります。
冷やから常温、燗酒までさまざまな温度帯でも崩れない味のバランスも魅力。飲み手の好みによりそう紀土の代表銘柄です。
(出典元:横浜君嶋屋オンラインショップ)
2-2.大吟醸
精米歩合 | 酒米 | 価格 |
35% | 山田錦 | 720ml:2310円(税込) 1800ml:4620円(税込) |
評判
酒米の中でも高品質な山田錦を、35%まで精米して造った贅沢なお酒です。低温でじっくり熟成させることによって、大吟醸ならではの華やかな香りを生み出しています。
その酒質は各界で高く評価され、最大級の日本酒コンテスト「IWC」(インターナショナルワインチャレンジ)では2014年・2015年と連続で最高栄誉となるリージョナルトロフィーを受賞。料理と合わせてじっくり楽しみたい平和酒造の自信作です。
(出典元:横浜君嶋屋オンラインショップ)
2-3.純米大吟醸 山田四十
精米歩合 | 酒米 | 価格 |
40% | 山田錦 | 720ml:2300円(税別) 1800ml:4600円(税別) |
評判
紀土が誕生してから8年が経過した蔵で、若々しさだけではない繊細な味わいを求めて開発された銘柄です。紀土の清らかさと優しさはそのままに、さらにクリアな味わいを実現しています。
口に含むと広がるのは、紀州の風土を思わせる素朴な味わいと、上品でやわらかな香り。やや辛口ですっきりしたキレの良さは合わせる料理を選ばず、食中酒として高い人気を得ています。
(出典元:酒専門店鍵や)
2-4.特別純米 カラクチキッド
精米歩合 (麹米/掛米) | 酒米 | 価格 |
50/55% | 国産米 | 720ml:1050円(税別) 1800ml:2100円(税別) |
評判
「日本酒は辛口が好き」「料理に合わせるならやっぱりキレのある辛口日本酒」という方におすすめしたいのが、こちらのカラクチキッドです。
紀土らしい柔らかな旨味とともに感じるのは、ほどよい辛口の刺激。刺身や天ぷらのような和食はもちろん、洋食と合わせても楽しめる銘柄です。冷やから燗まで、好みに合わせた温度帯で味わうことができます。
(出典元:横浜君嶋屋オンラインショップ)
2-5.無量山 純米大吟醸
精米歩合 | 酒米 | 価格 |
ー | 山田錦 | 720ml:2800円(税別) |
評判
「無量山」とは、代々仏寺であった酒蔵が持っていた寺号「無量山超願寺」から名付けられた名前。造り手の意思を宿した極みの酒を目指し、紀土の最高ランクの造りによって誕生したお酒です。
紀土らしくおだやかでありながら、口いっぱいに広がるのは甘く芳醇な香り。飲みごたえのある旨味とともに、キレのある酸味も感じられます。適度に冷やすことでさらに旨味が広がる、紀土こだわりの純米大吟醸です。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
2-6.無量山 純米大吟醸 25%
精米歩合 | 酒米 | 価格 |
ー | 山田錦 | 720ml:50000円(税別) |
評判
紀土の最高峰シリーズとなるお酒です。原料となるのは高品質の酒米、兵庫県産特A地区の山田錦。精米歩合(せいまいぶあい)は25%と米の中心部分だけを贅沢に使用し、華やかな香りを実現しています。
高級感溢れるボトルと箱、優雅な旨味は大切な贈り物にも最適な1本。特別な祝いの席にもふさわしい日本酒です。
(出典元:IMADEYA ONLINE STORE)
3.紀土の購入方法
紀土は平和酒造での直接販売はしておらず、正規取扱店と通販ショップで購入することができます。こちらでは、その一部をご紹介。ぜひ、和歌山を代表する地酒・紀土を味わってみてくださいね。
3-1.紀土が購入できる実店舗
「紀土」を実店舗で購入する時は、多くの地酒を取り扱う正規取扱店を選ぶのがポイントです。人気商品は品切れになっていることもあるため、希望の品がある時は事前に確認してからお出かけくださいね。
うらの酒店 | 福岡県行橋市行事7丁目5-12 | 0930-22-2673 |
はせがわ酒店 | 東京都江東区亀戸1-18-12 | 03-5875-0404 |
前中酒店 | 兵庫県川西市栄町12-2 | 072-759-7245 |
3-2.紀土が購入できる通販サイト
紀土は大手通販サイトでも購入できますが、正規の価格ではない価格で販売されていることがあるので注意が必要です。また、日本酒を専門に扱っていないお店では、品質管理が行き届いていない場合もあります。
直接商品を手にすることができない通販サイトは、日本酒に適した保存管理を行っている専門ショップを選ぶのがおすすめ。酒蔵が求める酒質そのままの、本当に美味しい紀土を購入することができますよ。
4.紀土の美味しい飲み方・楽しみ方
すっきりとした澄んだ味わいが魅力の紀土は、食中酒として普段の食事と一緒に楽しめるお酒です。おだやかな香りは合わせる料理を選ばず、素材の良さを引き立たせてくれます。
和食であれば新鮮な刺身、洋食であればカルパッチョのようなあっさりとした料理との相性もばつぐん。香り高い大吟醸は、白ワインのようにワイングラスに注いで楽しむのもおすすめです。
4-1.-5度で保管?
購入した紀土を美味しく保管するためには、温度管理がポイントとなります。日本酒は温度による酒質の変化を受けやすいお酒。蔵直送の味わいをキープするために理想的な温度帯は、酵母の働きがストップする-5℃だと言われています。
とはいえ、家庭用の冷蔵庫では-5℃をキープするのは簡単なことではありません。そこでおすすめしたいのが、日本酒専用に開発された冷蔵庫「日本酒セラー」です。日本酒に大敵な紫外線を避けつつ、-5℃をキープできるセラーなら、一度開栓した日本酒も美味しいまま保管できます。
日本酒セラーがない場合には、紫外線のあたらない冷暗所で縦置きで保管するのがおすすめ。日本酒は空気に触れると酸化しやすくなるため、開戦後はなるべく早く飲みきるように心がけてくださいね。
5.紀土の期間限定品
和歌山の四季の恵みを体現する紀土では、季節に合わせた限定品を製造しています。「春の薫風」は、ピンク色のラベルが春の訪れを感じさせる銘柄。軽やかな旨みと穏やかな香りが心地よい1本です。
夏に販売されるのは、涼しげな香りとやさしい甘みを持つ夏酒。あえてシュワッとしたガス感を残すことで、暑い夏にうれしい軽やかな飲み心地を実現しています。
秋に販売されるのは「紀土 ひやおろし 純米吟醸」。ひやおろしとは、前年の冬に仕込み、低温でひと夏寝かせたお酒のこと。数量限定の紀土のひやおろしは、ファンからも人気の高い銘柄です。
「しぼりたて」はその年の酒蔵の味を一番に楽しめるお酒。夏の米作りから収穫、精米から仕込みと、酒蔵の1年の想いが詰まった1本になっています。
6.まとめ
「製品に関わったすべての人々に思いを馳せて欲しい」酒蔵のそんな想いが込められた紀土は、全国の日本酒好きから高い人気を得ています。
お酒がつなぐ人と人との縁を大切にしている紀土は、飲み手に寄り添うおだやかな香りとやさしい味わいが何よりの魅力。ぜひ、若き蔵人たちの想いが詰まった和歌山のお酒「紀土」を味わってみてはいかがでしょうか。