みずみずしくフルーティーな香りの「鳳凰美田(ほうおうびでん)」。飲みやすさと確かな美味しさは、日本酒ファンはもちろん日本酒ビギナーにもおすすめです。
今回は、2022年3月に瓶詰めされたばかりの「鳳凰美田 夢ささら 純米大吟醸 無濾過本生」の味わいを唎酒師がレビュー!
ただ香るだけではない、クリアで上質な味わいにはただただ驚くばかり。早速、詳細についてお伝えします。
目次
1.酒米「夢ささら」を使った鳳凰美田
「鳳凰美田(ほうおうびでん)」は、栃木県の小林酒造が造る日本酒です。大きな特徴は、もぎたての果実を思わせるフルーティーな香り。
米をより小さく精米し、吟醸造りで造る「吟醸酒」のみ手がけることから、小林酒造は「吟醸蔵」とも呼ばれています。
今回の純米大吟醸に使用されているのは、酒米『夢ささら』。栃木県農業試験場が13年の月日をかけて開発したという新品種の酒米です。
精米歩合(せいまいぶあい)は40%と、米の外側を半分以上削って仕込んだ、なんともぜいたくなお酒。しかも、酒造りには田んぼに流れる水と同一水系の仕込み水を使用しているそうです。
さらに、製法には手間ひまかかる「生酛仕込み(きもとじこみ)」を採用。「無濾過本生(むろかほんなま)」とあるように、ろ過や加熱殺菌処理をしていない、実にフレッシュなお酒です。
ラベルには『冷暗所に保管を厳守し、お早めにお召し上がりいただくことをお約束願います』の文字…。はい!では早速いただきます!
2.澄んだ水のように上質な味わい
鳳凰美田というと「香り高い」「開栓と同時にお酒が香る」というイメージが強かったのですが、こちらの香りは実に穏やか。グラスに鼻を近づけると、洋ナシのように爽やかな香りが感じられます。
初めての『夢ささら』に期待しつつ、ひとくち、コクリ。
口に入れたとたんに、甘い香りと旨味がじわっと。「おぉ!」と驚いている間に、お酒がするりと喉元を通り過ぎていきます。
これは、まるで澄んだ水のよう。いやな引っかかりが何もない…なんてきれいなお酒。
気付くと舌の奥に苦味がほんのりと。心地よい余韻が「もうひとくち」とグラスを持つ手を進めます。
3.和食にあわせたくなるクリアな美味しさ
このクリアな味わいはきっと和食にあうはず…。ということで、早速春の食材にあわせていただいてみました。
用意したのは、薄味に炊いたタケノコとホタルイカ。タケノコの香りと旬の旨味に日本酒がそっと寄り添うようです。
ホタルイカの濃い味わいと、酢味噌の酸味とも相性ぴったり。新鮮なお刺身も食べたくなるなぁ。揚げたての天ぷらもよさそう。揚げ物の油分も、美味しい日本酒がさらっと流してくれそうです。
決して主張しすぎず、それでいて料理を引き立てるこの美味しさ…。食いしん坊にもぴったりの銘柄ではないでしょうか。
4.まとめ
今回テイスティングした「鳳凰美田」は、限定販売のお酒なのだそう。鳳凰美田ファンならずとも、ぜひ味わっておきたい日本酒という印象でした。
酒蔵の『お早めに』という心配もいらないほど、するするとあっという間に飲み切ってしまいそうなほど…。半分ほど残し、残りは冷蔵庫で保管するとします。
鳳凰美田のクオリティの高さを改めて実感した「鳳凰美田 夢ささら 純米大吟醸 無濾過本生」。気になる方はぜひ、その味わいを楽しんでみてくださいね。
小林酒造株式会社「鳳凰美田 夢ささら 純米大吟醸 無濾過本生」
【特定名称】純米大吟醸酒
【原材料】米、米麹
【精米歩合】40%
【使用米】夢ささら
【アルコール度】16%