日本酒にはさまざまな飲み方があります。お酒の種類にこだわったり、温度や器を変えたりすれば、いつもの晩酌がひと味違うものになるでしょう。そこで、本記事では日本酒の基本的な選び方や美味しい飲み方、さらには日本酒初心者も挑戦しやすい簡単なアレンジ方法も紹介します。
日本酒の美味しい飲み方 <1> 種類にこだわる
精米歩合と原料で8種類に分かれる「特定名称酒」
「精米歩合」で選ぶ
精米歩合とは、玄米を削り残った割合を%で示したもの。精米歩合が60%であれば、玄米を外側から40%削り取った状態のことです。
米の表層部分に含まれる栄養素は雑味の元となるため、精米歩合によって日本酒の香味に違いが表れます。精米歩合の数値が小さいのなら、クリアですっきりとした味わいを楽しめるでしょう。反対に表面をあまり削らず、精米歩合の数値が大きければ、コクのある芳醇な旨味や、米本来の香りが感じられます。
日本酒の美味しい飲み方 <2> 温度を楽しむ
冷酒の味わい方
5~15℃程度の温度に冷やした日本酒を冷酒と呼びます。さらに冷酒には、雪冷え(5℃前後)、花冷え(10℃前後)、涼冷え(15℃前後)と温度ごとの呼び名が付けられています。冷やすことで華やかな香りを感じられるため、香り高い吟醸酒や大吟醸酒、爽やかな本醸造酒などがおすすめです。
また日本酒は温度が低いほど喉ごしがすっきりとし、独特のクセが薄まる特徴があるため、飲みやすく感じる人も多いでしょう。ただし冷やしすぎてしまうと、雑味をおさえる一方、画一的な味わいになってしまうこともあります。
冷やの味わい方
「冷や」とは常温の日本酒のこと。具体的には20℃前後の日本酒を指します。外気の温度に合わせ、冬はキリッと冷たく、夏は口当たりの良い温度で楽しめるのが魅力です。
常温なのに冷やと呼ばれるのは、冷蔵庫のない時代のお酒の飲み方が関係しています。かつて日本酒は温めて燗酒で飲むか、常温で飲むかの2択であったため、お燗よりも温度が低い常温のお酒を冷やと呼んでいたのです。
常温で飲む冷やは、日本酒本来の味が引き立つと言われています。ただしお酒の雑味が分かりやすくもなるため、丁寧に造られたお酒でないと常温で美味しく味わうのは難しいかもしれません。もし冷やで飲むのなら、日本酒の風味や米の旨味などが引き立つ、純米酒がおすすめです。
燗酒の味わい方
燗酒とは温めて飲む日本酒を指します。燗酒は温度ごとに6種類に分けられ、なかでも温度の低いものを日向燗(30℃前後)・人肌燗(35℃前後)・ぬる燗(40℃前後)と呼びます。この中でもぬる燗は、お酒の豊かな香りが広がる飲み方です。
もしぬる燗で日本酒を飲みたいのなら、純米酒を選ぶのが良いでしょう。お酒を温めることで、お米のまろやかな香りと旨味が引き立ちます。
他にも、燗酒には上燗(45℃前後)・熱燗(50℃前後)・飛び切り燗(55℃前後)と呼ばれている飲み方があります。ぬる燗よりもお酒の甘味は感じにくくなるため、辛口好きにおすすめです。上燗は引き締まった香りと味わい、熱燗はキレのあるシャープな味わいを楽しめます。より辛口のお酒を求めるのなら、飛び切り燗にすると良いでしょう。
熱めの燗酒にするのなら、純米酒、本醸造酒が合います。温めることで、純米酒は米の旨味と甘味、本醸造酒はキリッと引き締まった香りと味わいを堪能できるでしょう。ただし高温にしすぎると味のバランスを崩すおそれがあります。さまざまな温度を試し、好みの温度帯を見つけてみてください。
日本酒の美味しい飲み方 <3> 器を選ぶ
冷酒に合うガラスの器
ガラスの器は涼やかな印象があるため、冷酒を飲むときにおすすめです。無味無臭のガラスはお酒の口当たりを邪魔せず、日本酒本来の味を楽しめます。
また、器の厚さや種類にもこだわってみてはいかがでしょうか。シャープな切れ味の大吟醸酒には薄く作られたガラスの酒器、濃厚なにごり酒には厚みのあるガラス酒器が合います。香りの高い日本酒の場合は、豊かな香りをしっかりと感じられるワイングラスに注いでみるのも良いでしょう。