「久保田」の定番の純米大吟醸酒である「久保田 萬寿」「久保田 碧寿」「久保田 純米大吟醸」。その3種類の魅力や楽しみ方を深堀りしていきます。本記事を読めば、料理やシチュエーションなどに合わせて、ぴったりの一本を選べるようになりますよ。
7種の純米大吟醸酒を揃える「久保田」
「久保田」とは、1985年に新潟県長岡市の酒蔵・朝日酒造で誕生した日本酒の銘柄です。創業時の屋号「久保田屋」の名を冠し、“創業時の精神に立って真剣に良いものを造ってお届けしていこう”という朝日酒造の精魂がこもっています。原料は水も米も100%新潟県産にこだわり、県内でもとりわけ硬度が低い軟水と、県産の酒米「五百万石」で醸した真の地酒です。
そんな「久保田」の名を冠する日本酒ですが、実は全部で17種類もあります。そのなかでも純米大吟醸酒は、定番の「久保田 萬寿」「久保田 碧寿」「久保田 純米大吟醸」、出荷時期限定品の「久保田 萬寿 自社酵母仕込」「久保田 萬寿 無濾過生原酒」「久保田 雪峰」「爽醸 久保田 雪峰」と、なんと7種類揃っています。
食事を引き立ててくれるすっきりとした口当たり、そしてキレの良さという共通のコンセプトがありつつも、味わいの趣はそれぞれ異なるのが、「久保田」の純米大吟醸酒。ここからは定番の3種にスポットを当て、魅力や楽しみ方を深掘りします。本記事を読めば、今日飲むべき一本を迷わずセレクトできるようになりますよ。
そもそも純米大吟醸酒って?
純米大吟醸酒とは、米、米麹、水のみを原料として造られる日本酒の中で、米は50%以下の精米歩合のものを使い、吟醸造りという製法で造られた日本酒のことです。
酒蔵によって純米大吟醸酒の味わいや香りはさまざまですが、磨き上げた米で造られるため、一般的には雑味がなくクリアな味わいのものが多い傾向にあります。香りの面では、華やかでフルーティーであることを特長とする銘柄が多いようです。
「久保田」の純米大吟醸酒 定番3種の違いと楽しみ方
造りの違い
久保田 萬寿 | 久保田 碧寿 | 久保田 純米大吟醸 | |
原料米・精米歩合 | 麹米:五百万石 50%
掛米:新潟県産米 33%
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麹米:五百万石 50%
掛米:五百万石 50%
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麹米:五百万石 50%
掛米:五百万石 50%
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酒母の種類 | 速醸仕込み・山廃仕込み | 山廃仕込み | 速醸仕込み |
日本酒度 | +2.0 | +2.0 | ±0 |
酸度 | 1.2 | 1.2 | 1.3 |
純米大吟醸酒なので精米歩合は全て50%以下ですが、「久保田 萬寿」のみ掛米を33%まで削っています。精米歩合33%は、久保田の全銘柄の中で最も小さい数値となり、より多く米を磨いている酒となります。
また、酒母の種類も異なります。「久保田 純米大吟醸」は一般的な造り方の速醸仕込みによるものですが、「久保田 碧寿」は山廃仕込みという蔵付きの乳酸菌の力を使った酒母の造り方で、一般的な速醸仕込みよりも倍以上の約1カ月かけてじっくりと育てます。山廃仕込みによる日本酒は、独特で複雑な味わいが持ち味です。
その速醸仕込みと山廃仕込みの両方を用いているのが「久保田 萬寿」で、両者のいいとこどりにより、奥深く複雑な味わいとなっています。
特別な時を彩るならこれ! 深みのある「久保田 萬寿」
「久保田 萬寿」は1986年から愛されている「久保田」の最高峰です。「万物の寿を願う酒」という意味が込められた縁起のいい名前も相まって、大切な人の誕生日やお正月といった季節の行事など、特別な時を彩るのにぴったりです。なかには、頑張った自分へのご褒美として購入するという人も。
飲んだシチュエーションが記憶に残るような、深みのあるまろやかな味わいが特長です。日本酒を飲むようになったきっかけの銘柄と言われることも多く、日本酒に馴染みが薄い方でも飲みやすい口当たりの柔らかさや、重厚的でありながらフルーティーな香りを持っています。飲み終わりのスーっと心地よいキレのある後味は、まさに久保田の真骨頂です。
おすすめの温度帯は冷酒または20℃前後の常温です。特に、丁寧に造られた日本酒でないと美味しく味わうのは難しいとされる常温という温度帯では「久保田 萬寿」の真価が発揮され、日本酒らしい風味や米の旨味が引き立ちます。
そのまま飲んでも華やかで重厚な味わいが感じられますが、素材の味を余すことなく引き出してくれるのが「久保田 萬寿」。ぜひ食中酒として、魚介の天ぷらや鯛めし、お刺身、ちらし寿司や京風の煮物など旨味に気品を感じる料理と合わせてお楽しみください。フルーティーな口当たりのため、小倉や抹茶の羊羹、ボンボンショコラなど、上品な甘さのあるお菓子とも好相性です。
久保田 萬寿
1,800ml 8,110円(税込8,921円)
720ml 3,640円(税込4,004円)
お燗を楽しむならこれ! コクのある「久保田 碧寿」
1988年に誕生した「久保田 碧寿」は「お燗でも楽しめるコクのある吟醸酒」を目指して開発された日本酒です。「碧」は澄明な深い色あいを指す言葉で、その懐深い味わいを表現しています。
特長は、昔ながらの製法である山廃仕込みが生み出す、どっしりとした旨味です。その存在感ある旨味に加え、爽やかでシャープな酸味、キレのある軽いのど越しも堪能できます。「久保田 千寿」などの飲みやすい食中酒を飲み慣れている人は、個性的な味わいに驚くかもしれません。しかし一度好きになるとやみつきになることうけあいで、「久保田」の中でもお酒好きに高い人気を誇っています。
冷酒ではキレや酸味が引き立ち、常温では口当たりがやわらかに。そして一番のおすすめはやはりぬる燗です。温めてもしっかりした味わいは健在で、山廃仕込みがもたらす深い旨味、ふわりと優しく口の中に広がる香りを存分に楽しめます。氷を入れたロックグラスにお燗した日本酒を注ぐ「燗ロック」にしても美味しく楽しめます。
山廃仕込みの力強い味わいのため、しっかりした味付けの料理にも負けません。例えば焼き鳥なら塩よりもタレ、刺身なら白身よりも脂の乗ったマグロ、白身魚なら西京漬けや粕漬け、イカやホタテなどの魚介はバター焼きなど、コクをポイントに置いた料理を選んでみてください。
久保田 碧寿
1,800ml 5,030円(税込5,533円)
720ml 2,230円(税込2,453円)
コスパならこれ! 香り高い「久保田 純米大吟醸」
2018年に通年発売が開始された「久保田 純米大吟醸」は、新しい方向性で従来の「久保田」ファンのみならず、これまで「久保田」に関心がなかった人をも驚かせました。洋食やカジュアルな飲み会のシーンにも溶け込むラベルのデザインも、ほかの「久保田」とは一線を画しています。
近年のトレンドのテイストである甘みや香りのある味わいと、「久保田」伝統のキレや透明感が融合した新しい美味しさで、20代の方や日本酒初心者からの人気を獲得しています。「久保田 萬寿」や「久保田 碧寿」と比べるとお手頃価格ですが、そのクオリティの高さは“こんなに美味しいのにこの値段!?”と感じさせてくれるはずです。
冷やすと豊かな香りが鮮烈に漂い、温めるほどにとろみを伴った甘味が強く感じられます。温度による変化が顕著に出るため、幅広い温度帯で楽しめます。緑茶やトマトジュース、コーヒーなどで割って飲んでも美味しく、常に新しい美味しさを体験させてくれる一本です。また、柑橘類やイチゴなどのフルーツを浮かべて飲んでも、フルーティーな香りとマッチします。
魚介類のマリネなどのあっさりとした料理と合わせると相性が抜群です。魚料理だけでなく、牛肉のタルタルやローストチキン、スペアリブといった肉料理と合わせても、肉の旨味と「久保田 純米大吟醸」のコクとキレが溶けあったマリアージュが完成します。
久保田 純米大吟醸
1,800ml 3,400円(税込3,740円)
720ml 1,570円(税込1,727円)
300ml 750円(税込825円)※化粧箱なし