
「日本酒って賞味期限があるの?」「開封前と後で保存方法は違うのかな…」
日本酒を購入したりもらったりする中で、疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お米を発酵させて造る日本酒は、適切な温度のもとで保存するのがおすすめ。火入れをしない生酒の場合は特に注意が必要です。
こちらでは、日本酒の保存期間や方法などをご紹介します。
目次
1. 未開封の日本酒は、正しく保管すれば保存期間を気にしなくてOK!
日本酒のラベル表示をいくら探しても、賞味期限が見つからなかったという経験はありませんか?そう、実は日本酒は賞味期限がないお酒なのです。
食品表示法でも賞味期限の表示は免除されており、適切な環境で保存した未開封のものであれば、日本酒はいつまでも飲むことができます。
その理由は、腐敗を防ぐことのできる高いアルコール度数と、製造工程で行う2回の「火入れ」。平均アルコール度数が15~16%、高いものでも20%前後の日本酒は、アルコールの殺菌作用によって年数を重ねたものでも飲用が可能です。
「火入れ」とは日本酒を搾った後と瓶詰めした後に行う加熱殺菌処理のこと。
米と麹をアルコール発酵させる日本酒は、瓶詰めした段階ではまだ酵素が生きています。そのため、酒蔵が美味しいと判断した状態で瓶詰めしても、このままでは時間の経過とともに味が変化してしまうのです。
火入れをして酵素の働きを止めれば、日本酒の美味しい状態をキープしたまま長期保存が可能。一方、火入れを行わない「生酒」や火入れの回数が1回だけの「生貯蔵酒」は、保存期間が短くなるため注意しなくてはいけません。
また、賞味期限の代わりに日本酒に表示が義務付けられているのが製造年月日です。製造年月日とは、日本酒をタンクから容器へと詰めた日付。日本酒をより美味しく飲むためには、この製造年月日がひとつの目安となります。
1-1. 適当に長期保存すると、味が変化してしまうケースも
前述したように、日本酒は長期保存が可能なお酒です。ただし、どんなお酒にも存在するのが一番美味しい状態で飲むことができるピーク期間。酒蔵もそのタイミングを見計らって製造し、瓶詰めした後に出荷しています。
日本酒の種類にもよりますが、加熱処理された日本酒であれば製造年月日から約1年、生酒や生貯蔵酒であれば9カ月ほどで飲むのが最適と言えるでしょう。
賞味期限がないお酒とはいえ、長い間放置していると日本酒の味や香りは変化する可能性があります。おいしさのピークを越えたお酒は「老ね(ひね)」とも呼ばれ、黄色く変色したり甘みや苦みが強かったりすることがあります。
ただし、その味わいをどう感じるかはあくまでも人それぞれ。製造年月日が古いもの=まずいお酒というわけではありません。製造から5年、10年と年月を重ねた味わいは搾りたてとは大きく異なり、熟成酒特有の香りや口当たりを感じることもできます。
日本酒の賞味期限は、あくまでも自分が美味しいと感じるかどうか。未開封のまま紫外線を避け、適切な温度管理のもとで保管すれば、長期保存による味の違いを楽しむことができるでしょう。
1-2. “生酒”や”生貯蔵酒” は保存が効かないので注意!
火入れしたお酒に比べ、「生酒」「生貯蔵酒」と書かれたお酒は保存に注意が必要です。
日本酒は、微生物の発酵によってできるお酒。火入れをしない生酒や、火入れが1度だけの生貯蔵酒は、酵母が生きたままの状態で瓶詰めされています。そのため、フレッシュなできたての美味しさを味わえるのが魅力のひとつです。
その反面、火入れをしないお酒は瓶内で発酵が進んでしまうためとてもデリケート。美味しさをキープするためにも、冷蔵保管が基本となります。
鮮度が味の決め手となる生酒や生貯蔵酒は、しっかりと冷やしたうえで、早めに飲みきるように心がけましょう。
2. 開封後の日本酒は3日~5日で酒質が変化。数ヶ月で味の違いを楽しむのも有り!
一般的に、開封した日本酒には他の菌が入り込み、劣化してしまうといわれることがあります。
ですが、開封直後は固くて荒々しい味わいの日本酒が、数週間も経ってみると酒質が変化して、むしろ飲みやすくなった。ということもザラに耳にします。
適切な環境で保存することを意識すれば、開封後3~5日で味わいの変化は感じられますが、数ヶ月と酒質の変化を香りと舌で楽しむことが可能です!味が変化するのが気になる。という場合は、飲みきりサイズの日本酒を購入したり、飲むタイミングを見計らって開封するのもおすすめです。
また、一升瓶を開けたけど飲みきれないという場合には、小さな容器に移して冷蔵庫で保管するもの良いです。一升瓶と比べ空気に触れる面積が少なくなるため、次に開けた時にもフレッシュな味わいを楽しむことができますよ。
開封後の日本酒についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
3.日本酒の保存方法
日本酒を美味しく保存するためには、温度と紫外線が大きなポイントとなります。日本酒は直射日光があたると成分が変化し、色も香りも本来とは違うものになってしまうからです。
また、高温多湿な場所で保管すると味が劣化してしまうため、生酒はもちろん、火入れをしたお酒であっても保管は冷蔵庫が好ましいです。横に寝かせるとゴムやアルミでできたキャップのにおいが日本酒に移ってしまうため、立てて置くように心がけましょう。
家庭の冷蔵庫にスペースがないという場合には、小さな容器に移して縦置きにするのもおすすめですよ。
また、日本酒の保管に最も適しているのが専用の日本酒セラー。低温管理が可能なセラーであれば、日本酒の品質を長く保つのに最適といわれるマイナス5℃での保管が可能となります。
家庭用の冷蔵庫には入りづらい一升瓶も、セラーであれば縦置きが可能。繊細な味わいの日本酒を、美味しい状態で長期間保存できるようになるのです。お気に入りの銘柄や大切な1本も、いつでも新鮮な状態で楽しむことができます。
4.まとめ
アルコール度数が高く、加熱殺菌処理される日本酒には賞味期限はありません。適切な環境のもと保存すれば、長く飲むことができます。
ただし、生酒や生貯蔵酒の場合は要注意。酵母が生きたまま瓶詰めされているため、低温管理を欠かすことはできません。加熱処理したお酒であっても、冷蔵庫で保管し早めに飲みきるのが理想的だと言えるでしょう。
日本酒に最適なマイナス5℃をキープするセラーであれば、酒蔵の理想とする味、できあがったままの美味しさを長期保存することが可能。
今回ご紹介した保存方法を参考に、より一層美味しい日本酒を味わってくださいね。